第46話「些細なケンカ」
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ばさらの森武闘会。…まだまだ始まりません。 蘭丸「あっかんべーだっ! お前らなんかお前らなんか、大会で信長様にコテンパンにやられちゃえーっ!!」(悪態をついてすぐさま森の奥へ消えていく子リス) 政宗「あの野郎…。罠から助け出してやった俺に一言の礼もなしだぜ…」(嘆息) 幸村「しょぼーん……」←未だ落ち込み中 政宗「あーあ、ったく、余計に腹が減ったぜ! さ、帰ろうぜ。って……ん?」 幸村「しょぼーん……」 政宗「………」 幸村「しょぼーん……」 政宗「あーっ、んだよテメエ!」 幸村「いっ!? な……何でござるか政宗殿!?」(じりりと赤面しながら後ずさり) 政宗「何だじゃ、ねえっ! 何なんだ、さっきから、お前は!」(すぐにその距離を縮めて詰め寄る政宗。至近距離) 幸村「はっ!? な、何…と、申されましても……」←無理やり顔を逸らす。嫌そう 政宗「〜〜っ。何で俺のこと避けてんだよっ!? 俺、アンタに何かしたか!?」 幸村「べ、別に…何もしてないでござるよ…」 政宗「だったら、俺のことちゃんと見ろよ! 理由もなく避けられたり逃げられたりしたら気になるだろうが!」 幸村「「き、気になるでござるか……」 政宗「とーぜんだっ!!」 幸村「そ、某も……ずっと……その、気になっているんでござる……」 政宗「は!? 何がだ!?」 幸村「そ、それは、だからその……ま……」 政宗「ま!?」 幸村「ま、ままま政………政政政………」(顔真っ赤) 松永「おやおや…。これはこれは……」(のそーりと登場) 政宗「テメエは!」 幸村「!!」 松永「ふ…この様な場所でご両人と顔を合わせようとは……。斯くもこの世の奇遇とは粋な事をしてくれるものだ……」 政宗「……何だかよく分からねェが、俺もテメエには訊きたい事があったんだ。一体何を企んでやがる…!」 松永「企む? これはまた……私が卿や卿らに何か失礼な真似をしただろうか。こちらとしては何も身に覚えがないのだが。どうだね、そこの真田某」 政宗「あ?」 幸村「……っ。ま、ま松永……久秀……。き、きき、貴公、ななな何故に、あのような薬を……」(視線逸らしつつ、既に顔は真っ赤) 政宗「幸村?」 松永「ほう。ようやくあれの用途を理解してくれたかね? ではあれが毒などではない事も分かってもらえただろう。どうだね、使用してみた具合は? 体内から言い知れぬ力が漲ってきたであろう?」 幸村「つ、使ってなどおらん! あのようなもの…!」 松永「使っていない? ……やれやれ。わざわざ成分まで調べて折角安全だと理解した物を活用しないとは。隣の独眼竜も、それではさぞ残念な事だろう」 幸村「ま、政宗殿も?」 松永「無論だ。彼も君があれを使う事を欲しているに違いないからね」 幸村「まま、まさか!? 何故!?」 政宗「おい…一体何の話だ?」 松永「さて。それはそちらの真田某に直接訊けば良かろう。何しろ、私はただここを通りがかっただけだ。くだらぬ因縁をつけられる前に退散するとしよう」 政宗「待て。ここは豊臣秀吉の領地だって事だが……お前はそれを知っていて、ここに立ち入ったのか?」 松永「ああ、そうだよ。彼に用があったのでね。というより、私は招かれたのだが」 政宗「招かれた?」 松永「明日になれば分かる事だし、ここで出会ったのも何かの縁か…。なにね、私は明日の大会を棄権する事にしたのだよ」 政宗「何!?」 幸村「き、棄権…? 確か、貴公の次の相手は…」 松永「左様、ここの豊臣軍参謀、竹中半兵衛殿だよ。私は彼との試合を降りる事にしたのだ」 政宗「テメエ…竹中の野郎に何を言われた」 松永「それはこちらの事情というものだ。それに、確かに優勝を狙うのも一興だが、私は元々天下獲りには興味がなくてね。全て、楽しければ良いのだよ。そういう意味では、私はここらで退場した方が面白い、そう思ったまで…」 政宗「………」 松永「独眼竜、君の次の相手はあの風魔だったか…。彼は恐ろしい忍だ、私も命を狙われていて厄介だから、君を応援させてもらうとしよう。真田某、卿はあの魔王か……ふ……せいぜい命を無駄に散らさぬよう気をつける事だ。彼の者こそ、試合に勝ってこの森を手に入れようなどとは考えていないだろう。ほんの気まぐれで参加しているに過ぎない大会なぞ、いつどんな拍子で壊そうとするか分からない」 幸村「せ、先刻も言ったであろう! 某は、誰が相手でも負けはせぬ!」 松永「そのように乱れた心で……だからあの薬を飲めば良いものを」 幸村「飲まぬと言ったであろうっ!!」(顔面茹蛸状態) 松永「……ふ。では、明日を楽しみにしているよ」(ゆらーりと去って行く松永) 幸村「ぐっ…。あ、あの松永久秀…! 一体、何なのだっ!」 政宗「……これで豊臣軍のあの2人は無条件で準決勝へ進めるって事か」 幸村「は…?」 政宗「豊臣秀吉の対戦相手、かすがって九ノ一も、負傷で試合を棄権するはずだ。つまり、豊臣秀吉の不戦勝」 幸村「な…!? そ、そして竹中半兵衛も、松永久秀の棄権で不戦勝…」 政宗「そういうこったな」 幸村「……と、豊臣軍は大会に優勝して何を望むつもりなのでござろう」 政宗「さあな。周りの風聞で判断すると、この森の支配者になるってところか」 幸村「し、支配者…!? こ、この森は我がお館様の統治によって成り立っているのに…!」 政宗「ま、あいつらの思い通りにしたくなきゃ、あの大会で優勝するしかないって事だろ」 幸村「優勝……」 政宗「それより、松永の言う通りだ。アンタはまずあの魔王と対峙しなきゃなんねえ。大丈夫か?」 幸村「な、何を…政宗殿までっ!」 政宗「あのオッサンの試合、ちっとしか観れてねえが、タダもんじゃねえのは間違いない。もし本当に命の取り合いになるようなら、迷わず棄権しろよ?」 幸村「な、何を言う! 某は試合を途中で降りるなど、絶対そのような真似はせぬ!」 政宗「何も最初から降りろとは言ってねーだろ! もしもって時の話だ!」 幸村「もしもなぞござらん! 某は誰が相手でも勝ちまする! 魔王など、恐るるに足らず!」 政宗「バカ! 油断すんじゃねえ!」 幸村「ば、ばか!? 如何な政宗殿でも、それは聞き捨てならぬ!」 政宗「心配してやってんだろうが!」 幸村「大きなお世話でござる! 某は、政宗殿が相手でも勿論負けませぬ!」 政宗「〜〜! こんの、強情ったれ!」 幸村「政宗殿こそ!!」 佐助「………それで?」 場所は変わって、パンダ小十郎の家。 政宗「むっすーーーーーー」(椅子に座っているものの、完全に余所を向いて不貞腐れ) 幸村「つーーーーーーーん」(同じく政宗の対面に座っているが、横を向いて唇を尖らせている) 佐助「折角一緒に帰ってきたのに、何で2人してそんな険悪なわけ?」 小十郎「本当に……一体何があったのでしょう」 慶次「夫婦喧嘩は犬も食わないって言うのにねえ」 以下、次号…!! |
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つづく |