第51話「豊臣軍領地にて」


ばさらの森武闘会。……どころか、この連載自体が久しぶり過ぎて、最早誰一人この話の展開を覚えていないに違いない第51話(爆)。


政宗「うおっ!? な、何だこの森は!? いつの間にかものすっげー雑草が辺り一面に生い茂ってやがる!!」

……「おいでよどうぶつの森」を持っている方ならご存知でしょうが、村を放置し過ぎると森が荒れて雑草がそこかしこに生えるのです。


政宗「Shit!! 一体どうなってやがんだ!? 最早森じゃなくてジャングルだぜ…! 竹中の野郎、おかしな幻術でも使えるのか、もしかして!!」
半兵衛「心外だな」
政宗「!? 竹中!」
半兵衛「僕を訳の分からない幻術師呼ばわりしないでもらいたい。……白銀の彼じゃあるまいし」
政宗「?」
半兵衛「こちらの話さ。この森が異様なジャングルになったのは、この連載が放置されたが為に任天様が組んだ自動プログラム“荒廃”が起動しただけだよ。特に問題はない」
政宗「何の話かさっぱりだ」
半兵衛「ふ……そう。そんなことはこの話とは全く関係がない。しかし、これから始まる戦場としては多少不向きかな。秀吉にとってはどうという事もないのだろうけれど、戦略を立てる僕の立場からすれば、織田軍の連中が仕掛けてくる小細工に有利なこの地形は厄介だ」
政宗「……お前らがしようとしている戦の事なんざ、この俺には関係ねえ……と、言いたいところだが。そうも言っていられなくなった」
半兵衛「へえ? やはり君もこの森の支配には興味があるんだ? あの第六天魔王が戦をすると言っている以上、最早武闘会の中止もやむを得ない。とすると、森の支配の為にはどうしたってこの戦には参戦するより他ないものね」
政宗「この森の支配なんざどうでもいいッ! とにかく、ここが静かになんなきゃ、俺は心が休まらねーんだ! 俺には他に色々と考えなきゃならねー事があるんだよ!」
半兵衛「ふうん…。それはあの元気な元小熊のこと…とか?」
政宗「はあ!?」←図星
半兵衛「でも、そうか…。君はこの森の支配には興味がないのか。それなら良かったよ、僕とて無駄な労力は使いたくないからね。君と戦わなくても良いのなら、それに越した事はない。ザビーが向こうでやられていただろう? だから僕はてっきり、君が織田ではなく、豊臣に敵対するつもりなのかと思っていた」
政宗「あの黒羊は喧嘩吹っかけてきたから返り討ちにしただけだ。俺ァ、豊臣自体には別に恨みもねえし、どっちかって言うと、むかつくのはうちの小十郎に手を出した明智の野郎……つまり、奴の所属する織田軍だな」
半兵衛「……そうか」
政宗「ん? けどよく考えればお前らも明智と……確か会場の控室でつるんでなかったか?」
半兵衛「いいや。僕たちとてあの人にはほとほと困っているんだ。それは織田軍とて同じ事だろう」
政宗「織田軍も?」
半兵衛「そういう事なら良い事を教えてあげるよ。あの男が根城にしている秘密の場所があってね。彼も人間に脱皮したばかりだから、今はそこで鋭気を養っていると思う。うまくいけば挟撃できるだろう、何せ彼のアジトはある崖下の地下深くにあるから」
政宗「……何でお前がそんなこと知ってんだ?」
半兵衛「情報は力だよ政宗君。これくらいの事はこの森の支配を考えている僕たちにしてみれば当然の事だね。ましてや彼は我ら豊臣にとっても危険な思想の持ち主だから」
政宗「………」
半兵衛「その彼を君らが始末してくれるというなら、これほどありがたい事もない。協力するにやぶさかではないよ?」
政宗「……いいや、別に教えてくれなくて結構だ。(大体もう知っているしな、そこは)」←というのは心の中だけで思う政宗様
半兵衛「何故? 相手の隠れ家を押さえられれば戦いも有利に進められるのに」
政宗「それより、何か教えてくれるってんなら違う事を訊きたい。ここに慶次の奴が来なかったか」
半兵衛「……何故彼のことを?」
政宗「ちょいと訊きたい事があってな。あとついでに、奴がバカな暴走をするようなら止めなきゃなんねえ」
半兵衛「政宗君、キミは意外にお節介な人間なんだね。小熊の真田ならともかく、前田慶次など君にとってはどうでも良い存在なんじゃないのか。然程親しかったとも思えないが」
政宗「だから言ってんだろーが! 俺はここの問題を片づける為に動いているだけだ! それでお前は慶次の奴の居所を知ってんのか知らねーのか!?」
半兵衛「知らない、と言ったらウソになるだろうね」
政宗「やっぱりここに来たのか…。まさかもう豊臣に喧嘩売ったとか言わねーだろうな…」
半兵衛「ふん……。まったく、僕たちの周りをうろちょろする邪魔な奴だよ…。まぁ秀吉ももう彼のことなど眼中にないようだからね。一払いして終わりだったけど」
政宗「一払い?」
半兵衛「帰りたまえ、政宗君。僕たちは忙しい。これから織田軍と相対する準備をしなくてはならないし、この戦に興味がないという君とこれ以上語っていても無意味だ。関わらないというのならそれで良し、僕たちの領地には今後一切近づかないでくれたまえ」
政宗「……慶次の奴を渡してくれたらな」
半兵衛「領地の出口へ行きたまえ」
政宗「だから、慶次を――」
半兵衛「そこへ行けば彼はいるよ」
政宗「!」
半兵衛「さようなら政宗君。しかし気をつけたまえよ。僕たちは戦う意志のない者を追う趣味はないけれど、あの魔王は別だ。あれは人もどうぶつも区別なく燃やす……憤怒の王だからね」
政宗「………」


――そして半兵衛と別れ、豊臣軍領地の外へと出た政宗は。


政宗「!! おい、慶次! どうしたおい!!」(打ち捨てられたかのように倒れ伏している慶次を見つけ、その身体を揺さぶる政宗)
慶次「う……ま、政宗、か……?」
政宗「お前これ、豊臣秀吉の野郎にやられたのか!? それともあの半兵衛か!?」
慶次「大した事ァないよ……。ちょっと…っつ……喧嘩、してさ…」
政宗「ただの喧嘩でここまでやるか!? おい、お前いい加減にしろよ、一体秀吉の野郎と何があったってんだ!」
慶次「政宗…。俺は、秀吉のことをどうしても嫌いになれない。……あいつは、ねねを殺したのに」
政宗「な…」
慶次「どうしてもあいつを止めたい…。ばさらの森の支配なんてバカなことは……」
政宗「お! おい、慶次!!」


――言いながら気を失ってしまった慶次。焦る政宗様!以下次号!!




つづく



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