第52話「始めるのはヒトだから」


ばさらの森武闘会。……からストーリーは大きく逸れ、現在は各軍がそれぞれの思惑により動いている模様…!因みに森はジャングル!!


謙信「これは……けいじがこのようなすがたになるなど……とよとみですか」
政宗「悪ィな、こいつん家は今、織田への和議申立やら何やらでバタバタしているし、うちの方も完全に安全とは言えねえ。こいつ連れてくる所、ここしか思い浮かばなかった」
謙信「かまいません。けいじはわたくしのたいせつなとも……。かすが、けいじのてあてを」
かすが「はっ…! おい、前田を奥の間へ!」
複数の従者「「はっ!」」(言って政宗から巨体慶次を譲り受け、部屋へと運ぶ臣下たち)
政宗「……悪い」
謙信「だいぶつかれているようですね。そなたもすこしやすんだほうがよい。じき、ひもくれます」
政宗「いや…そんな暇はねえ。この下じゃ、魔王の奴が戦を始めるってんで大騒ぎだ。アンタん所にもとうに触れが来ているとは思うが」
謙信「そうですね。たけだのほうからもししゃがありました。とよとみがたもぜんめんさんせんのかまえ…、もりがあれるのはひつじょうかと」
政宗「武田のオッサンはどう出るつもりなんだ?」
謙信「あのおとこのたちばじょう、まえだのようにじゅうぞくするふりをするというわけにもいきませんでしょう。とうめんはわれらがうえすぎと、しまづ、ほうじょうとでてをくみ、これにこうしようと」
政宗「同盟か」
謙信「しんげんはとくがわやいまがわにもししゃをおくったとか。おそらく、いろよいへんじはもらえぬかとおもいますが」
政宗「しかしあの魔王の力は半端ねえ…。とりあえずでも奴の暴走を止める為にゃ、武田やアンタん所と組むのが一番賢いやり口に思えるがな」
謙信「いきのこりをかけるがこそ、よりだいなるせいりょくにつくことをかんがえるのでしょう。わたくしのみたてでは、いまがわはおだに、とくがわはとよとみにつくがのうこうかと…」
政宗「そうなのか…?」
謙信「いがいですか」
政宗「いや…。俺はここいらの奴らの勢力もどうぶつ関係も何も知らねえからな。しかしあの豊臣……魔王ほどはイカれちゃいねえと思っていたが、慶次のやられ具合と、あいつの話を聞くと…実際、アブねえのはあっちじゃねえかって気もしてきた」
謙信「けいじがそなたになにかはなしたのですか」
政宗「………」
謙信「ねねひめのことでしょうか」
政宗「アンタも聞いたのか?」
謙信「けいじはなにもかたりません。けれど、ひめのしっそうからもりがあれ、ひでよしのたいどがひょうへんしたことからしても、なにかあるとはだれもがかんがえることでしょう」
政宗「だよな…。けどまさか…」
謙信「それでりゅうよ。そなたはこれからどうするのです。まさかけいじのように、たんしんでとよとみをせめるわけでもありませんでしょう」
政宗「まぁな…。けど、俺にはアンタらの所と違って兵隊がいるわけでもねーし、今ある力だけでこの混乱をどうにかしようってんなら……各個撃破しかねェだろう」
謙信「……たんどくこうどうは、しょうたるもののなすべきことではありませんよ。そなたのなさんとしていることはしのびのそれかと」
政宗「ハッ! かもな。だが、俺に出来る事と言やぁ、せいぜいがそんなもんだろうよ。この森じゃあ、俺はどの軍の大将でもねえ。ただの人間、伊達政宗だ。――でかい戦はアンタらに任せるぜ」
謙信「ひきうけましょう。もとよりわれらがもりのこと。おそらくおだらがたいぐんをうごかすのは、このじこくときゅうへんしたかんきょうをかんがえれば、みょうちょうあたりかと。それまでにわたくしたちもやまをおり、ふじんをととのえます」
政宗「慶次の奴はここに置いておいても大丈夫か? あいつ…多分、気がついたらまた無茶するぜ」
謙信「だれかそばにおいておきましょう。……もっとも、それでけいじがとまるともおもえませんが」
政宗「だな。けどあの慶次をあそこまでにする豊臣秀吉ってなぁ……あれも相当だろうな」


――そして一足先に謙信の屋敷を出た政宗は。


政宗「戦は明朝からとは言え……。まさにそれまでが勝負だろうな。……あ〜……しかし、腹減ったぜ……あんなでか犬運んだから余計疲れた(汗)」←政宗様のHPかなりピンチ
元パンダ小十郎「政宗様!!」
政宗「小十郎! よく俺がここにいるって分かったな」
元パンダ「まったく! お一人で無茶な行動を取るのはおやめ下さい! 人間の片倉も叱り飛ばしてきました! 前田の所へ行ったと聞き、そちらへ向かえば今度は豊臣の所などと…! この大事にあのような場所へ赴くなどと、肝を冷やしましたぞ!!」
政宗「あ? 何で俺が豊臣の所へ行くって分かった?」
元パンダ「は? 真田に言いましたでしょう? あいつから聞いて後を追ったのですっ」
政宗「……ああ、そうか。そういえば言ったかもな」
元パンダ「しかしそこでもまた入れ違い…。幸い、その場にいた本田忠勝が政宗様がこちらへ向かったと教えてくれまして、それですぐにまた後を追えましたが」
政宗「は? ……本田、忠勝だ? あのロボの?」
元パンダ「はい」
政宗「あいつ、喋れるのか」
元パンダ「人語を操るところを見た事はありませんが、何、同じ主君に仕える者同士、目を見れば奴の言いたい事など分かります」
政宗「へ、へえ……すげえな」
元パンダ「とにかく一旦戻りましょう! 下は大変な騒ぎです。織田が森で戦争を起こす気だと、一般のどうぶつ達は一斉に避難し始めていますし!」
政宗「そうか。武田のオッサンは?」
元パンダ「猿飛が追って片倉の方に現状を知らせてくれることになっておりますが、恐らくは領地の周囲を固めて防戦の構えかと。北条、島津もその武田と円形に並ぶ形で布陣を整える腹積もりと聞いております」
政宗「あ〜! 全く、何てこった! 平和などうぶつの森じゃねーのかよっ! 何だってこんな事になっていやがる!」(まったくだ…)
元パンダ「それと織田軍の動きですが、どうやら大量の武器をどこかから運ぶ手筈になっているらしく……兵たちの動きが活発だそうです」←しかし問答無用で情報を流し続けるこじゅ
政宗「武器だぁ? ……ちょっと待て、武田の側の情報が知れるのは分かるが、それはどっからのネタだよ?」
元パンダ「はっ…。モグラの宮本武蔵です」
政宗「誰だそいつ?」
元パンダ「政宗様も相対した事がおありかと……。えーと、確か第何話でしたかな……」
政宗「まぁいい。何でそいつがお前にそんな事を教えてくる?」
元パンダ「武蔵だけではありません。いつきからはこれを」
政宗「お! スゲー! 握り飯じゃねーか! いつき、Good Job!! 今最も、最上級に必要なもんだ、これは!!」(珍しく食べ物を前にキラキラする政宗様。よほど飢えていたらしい…)
元パンダ「それと、島津公からは精のつく酒。元親の奴も武蔵と同じく、周辺の探りを入れながら海からの攻撃がないか見張るとの事です。何かあればすぐ知らせると」
政宗「何で俺らに…?」
元パンダ「それは勿論……皆、政宗様に期待しておられるのです」
政宗「What?」
元パンダ「皆、このばさらの森を荒らされたくなどない…。戦など大多数のどうぶつ達の望むところではありません。何とかあの魔王の暴走を、そしてそれに迎え撃たんとしている豊臣方を止めてもらいたいと考えているのでしょう」
政宗「おいおい、凄い買い被りだな。俺はただの人間だぜ?」
元パンダ「魔王も豊臣方も、元はどうぶつではありません。我らと同じヒト科です」
政宗「!」
元パンダ「いつの世も、尊いものを壊すのは人なのです。ですが、それを止められるのもまた人であると……彼らはそう考えているのでしょう」
政宗「………」
元パンダ「……その握り飯。うまいですかな?」
政宗「ああ、最高だ」
元パンダ「………」
政宗「まぁ……この旨い飯の分だけは、俺もきっちり働いてやるとするか」


――決意を新たに戦いの渦に巻き込まれんとする政宗様。以下次号…!!




つづく



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