第53話「怖いお子様」


ばさらの森武闘会。←……っていう出だしになっている新規ページをあらかじめいっぱい作ってあったのでいつもこの始まり方なんだけど、そろそろやめようかと思っている今日この頃。

話は魔王様の気紛れにより、森全体を巻き込む大戦争へと突入する!……かもしれない展開になってきた!!


元パンダ「政宗様、どちらへ? 山を下りるのではないのですか?」
政宗「あぁ…。そう思っていたんだが、お前が来たし、握り飯と島津のオッサンの酒でエネルギー補給できた。――となると、折角ここまで来たついでだ、魔王や豊臣の連中を掻き回す前に、ちっと片付けておかなきゃならねー奴がいると思わねーか?」
元パンダ「明智ですか」
政宗「お前だって気になってはいただろ? 奴との落とし前、まだつけていないままだ」
元パンダ「はい、それは。しかしこの戦で奴と相対する事は必定。焦らずとも決着はつけられると思っておりましたから…。奴は今あそこに?」
政宗「竹中の野郎から聞いた情報なんであてにはならねーが、そのようだ。前にあいつが消えた崖下。やっぱあそこら辺が奴の隠れ家らしいんだよな。しかも奴は今そこに潜んでいるところだとよ」
元パンダ「それは誠ですか。しかし……竹中の野郎の言う事です、真に受けて良いものかどうか」
政宗「まぁな。けど奴もお前同様、ヒトに戻って間もない。すぐに本調子になれねーってのは本当だろう。病人のような奴の寝込みを襲う真似は本来趣味じゃねーが……まっ! この際そんなのどうでも良くねーか?」
元パンダ「ま、政宗様…? 何やらキャラが……」
政宗「あん? 何だよ?」
元パンダ「い、いえ…。確かに。戦は勝たねば意味がありません…。我らはこの森のどうぶつ達の命運を背負っているのですから、卑怯だの何だのとは言っておれませんな」
政宗「あぁ〜ん? 卑怯だあ? てめえ、この俺のどこが卑怯なんだよ!? 俺はあのむかつく明智の野郎をぶん殴りにいこうっつってるだけだろ!?」
元パンダ「は、はい」
政宗「しかも奴は織田軍の一員だろう。俺らはただでさえ頭数がいねーんだ、ああいう幹部クラスは個別に叩いて潰していかなきゃなんねーだろうが? でなきゃ永遠にこの連載が終わらねーぞ!? お前はそれでもいいってのか!?」
元パンダ(……人間の片倉が政宗様のご自由にさせていたのはこのせいか…。まったくあの野郎は……)
政宗「小十郎! 何ぶつくさ言ってんだよ!」
元パンダ「はっ!? い、いえ、何でもありません! ただ、政宗様も大分お疲れのようだと思いまして…」
政宗「は!? ったりめーだろうが、どんだけこの話放置されてきたと思ってんだ! いい加減疲れるっつーんだよ! それにな、俺は忙しい! さっさとこの問題を解決させて考えなきゃなんねー事が――」
元パンダ「考えなければならぬ事とは?」
政宗「………」
元パンダ「政宗様?」
政宗「しっ…。隠れろ」(言って素早く傍の茂みに潜む政宗様)
元パンダ「……! あれは……」(自分も素早く隠れながら、突如として現れた影を見つめる)
政宗「一個小隊ってとこか…。どうやら上杉が布陣を敷く前にって腹積もりらしいな」
元パンダ「しかし迎え撃つというより、あれは……? 罠、でしょうか?」
政宗「かもな…こっからじゃよく見えねーが……ん? あのガキは…!?」
元パンダ「む…あれは子リスの蘭丸ですね。普段は害もなくそこらを遊び回っているただのガキなのですが……あいつめ、やはり魔王の飼いリスか。何を企んでいやがる…」
政宗「とりあえず、あんなチビでもあの小隊のボスはあいつってことらしい。挟み撃ちで捕まえて、こってりお仕置きしてやろうぜ」
元パンダ「御意!」


――そんな伊達主従のひそひそ話などどこ吹く風な子リス蘭丸は。


蘭丸「おい、お前らちゃっちゃと準備しろよ!? ここが済んだら武田や北条、島津の方にも行かなきゃならないんだからなッ!」
雑魚キャラ部下1「はっ!」
雑魚キャラ部下2「蘭丸様! 種の方は如何致しますか?」
蘭丸「何だよ、そんなのまで持ってきてたのか? 種だと植えても育つのに4日はかかるから、今回の戦には使えないよ。この戦いがそんな長期戦になるわけないからな。こんなお遊び、明朝、信長様が大暴れして一気に終わりさッ!」
雑魚キャラ部下3「は……。しかし明智殿が……」
蘭丸「はぁ〜? 明智〜? あーんな勝手な奴知るかよっ! あいつが蒔けって言ったのか!? ホントあいつむかつくよな〜。いっつも知らない間にどっかへ行って、そんで勝手に動いてさっ。信長様も何であいつを放っておくんだろ! 殺しちゃえばいいのに!」
政宗「物騒なことをさらりと言う坊主だな?」
蘭丸「ぎゃ!?」
元パンダ「テメエらも動くんじゃねえ! 将の首は俺らが預かった! 下手な真似をするとすぐさまこのガキ締めちまうぞ!」
雑魚キャラたち「「う、ううっ……」」
政宗「ひゅう〜。おっかねえ。本領発揮ってとこか、小十郎?」
元パンダ「ご油断めされるな、政宗様。ガキとは言え、蘭丸は相当な力の持ち主…。おい! 武器を使おうとしても無駄だ、その弓をこちらへ投げろ!」
蘭丸「うう……ちくしょう!」(しかし政宗に刀を向けられ羽交い絞めにされている為、渋々と弓を小十郎の元へ投げる蘭丸)
政宗「いけねえな、可愛い小リスともあろうもんが、こんな危ないもん玩具にするとはよ」
蘭丸「ま、政宗……何でお前が、こんなとこに…!」
政宗「俺がどこを歩こうが俺の勝手だな。ここは自由などうぶつの森じゃねーのかよ」
蘭丸「違うっ。このばさらの森は全部ぜーんぶ信長様のものなんだいっ! 信長様に従うどうぶつだけがこの森を歩く事を許されるんだっ!」
政宗「へーえ? そんな事、初めて知ったぜ。大体、見たところあの魔王のオッサンだって、こんな森の統括になんざ興味ねーだろ? あれはただ壊したいってだけじゃねーのか」
蘭丸「煩いなっ! どうなろうが、俺は信長様についていくだけだい! いいから離せ、離せよこのバカ政宗〜!」(じたじた)
政宗「まったく考えのないガキはこれだから困るぜ。後先考えねーで暴れやがる。こんなガキに育てた魔王のオッサンも責任重大だな」
蘭丸「信長様の悪口を言うなあ〜!」(じたじた)
元パンダ「政宗様、こちらは片付きました」
政宗「ん? はえーな、小十郎」
蘭丸「はっ!? お、お前〜! いつの間に俺の子分たちを!」(小十郎にあっさりなぎ倒され、積み重ねられた部下の小山を認めて、ぎょっとする蘭丸)
元パンダ「おい蘭丸。これは一体何だ。お前らがここいらに埋めようとしていたこれは……腐ったバナナなど一体どうするつもりだ」
政宗「!」
蘭丸「へっへーんだ、教えないよーだ!」
元パンダ「どこからどう見てもただのバナナだが……」(雑魚キャラから取り上げた黒いバナナをあちこちの角度から見つめる小十郎)
政宗「……おい、小十郎、そいつをあんまり乱暴に振るな」
元パンダ「は?」
政宗「そいつぁ爆弾だ」
元パンダ「な……!?」
蘭丸「ぎくっ」
政宗「おい、テメー。どういうつもりだ。やっぱテメエも明智とグルか? まぁ、同じ織田軍だ、奴とつるんでいても何ら不思議はねえが……」
蘭丸「あ、あんな奴と一緒にするないっ。あいつの事なんか知るかよ!」
政宗「とぼけんじゃねー! テメーだってこれをあいつが持っている事は知っていただろうが! あいつの命令でこれを埋めて、この辺り一帯地雷原にしようとしたんだろ!?」
蘭丸「違やい! 確かに爆弾はあいつが調達した物だけど、これは濃姫様の考えで――」
元パンダ「魔王の嫁か」
蘭丸「やば……」
政宗「どっちの命令だろうが俺らには同じ事だ。やっぱ明智の野郎は早々に叩く必要があるようだな。とどのつまり、織田に武器流してんのも奴ってこったろ」
蘭丸「うぅ〜あんな奴、あんな奴! こんな事くらいで手柄を立てたと勘違いしやがってさ! だから俺もこれいっぱい埋めて、いっぱい敵をやっつけて信長様に誉めて頂こうと思ったのに〜!」
政宗「末恐ろしいガキだな…。テメエのやっている事がどんなもんか自覚がないときてる」
元パンダ「まったく。躾け直す必要があるようですな」
蘭丸「!? な、何だよ、離せ! 離せよ、政宗! お前、俺にこんな真似して、ただじゃおかないぞ! 絶対信長様がお前をやっつけに来るんだからな!」
政宗「あ〜そりゃ手間が省けてありがたいこった」(無視して蘭丸をぐーるぐるの簀巻き状態にしていく政宗様)
蘭丸「うわ〜宙吊りはやめろ〜! 俺はミノムシじゃなーい!」
元パンダ「騒動が終わるまで大人しくぶら下がって反省していろ。第一、お前も、この山にいるのが安全だろうよ」(傍の大木に蘭丸をぶら下げる小十郎)
蘭丸「わーん、信長様助けて〜!」
政宗「さて、ますます明智の野郎は放置しておけなくなった。あの崖下へ行くぞ、小十郎」
元パンダ「はっ!」


――とりあえず織田軍の幹部・蘭丸をお仕置きした政宗様&小十郎。目指すは明智の隠れ家。
以下次号!!




つづく



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