第55話「黄金のバナナ」
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舞台は武闘会から、魔王様こと織田信長公による、「武闘会、めんどくさくなったから森で大暴れしてやるぜ!」的な宣言により、のんびりお祭りモードから一転、森中のどうぶつ達をパニック&大移動への大騒動へと発展させてしまった!!(えらい迷惑) そしてこちらは、明智の隠れ家があると思われる山間の切り立った崖の下。 政宗「ひゅう〜。一歩間違えれば谷底へ真っ逆さまだな。あの野郎、いい趣味してるぜ」 元パンダ「しかし……あの断崖から逸れた場所で、この様な下れる脇道があるとは思いませんでしたな…」 政宗「それもこれもアンタのお陰だな、風魔。えーっと、そもそもお前、北条の忍なんだっけか?」 風魔「……………」 政宗たちは物言わぬ忍・風魔の先導で、急な断崖を無理に下るのではなく、回り道ながらも下へと続く脇道を発見する事ができた! ……しかしその下はさらに奥まった谷底がぱっくりと口を開けており、下は見えない。恐らくは微かに聞こえる水飛沫から、細い急流が続いていると思われるのだが……。 政宗「俺はよ、協力してくれってのは、本当はこいつに下まで運んでもらうつもりだったんだよな。ほら、こいつコンドルで空飛べるし。それなら下までひとっ飛びだろ?」 元パンダ「そのような危険な真似をこの小十郎が見過ごすとでも? まったく、無茶な事を仰らないで下さい」 政宗「ハッ! 先が見えねぇこんな崖下に俺らだけで乗り込むって事が、既に十分一線を越えているとは思わねーのか?」 元パンダ「危険でないとは言い切れないでしょう。ですが……明智の野郎がいれば、この小十郎が仕留めます故」 政宗「やっぱ不完全燃焼だったか」(ニヤリ) 元パンダ「とは言え、気になるのは明智だけではなく……奴の背後にいる者の存在でしょう」 政宗「背後? ――あぁ、真田の忍が言っていたあれか?」 元パンダ「無論、猿飛から言われるまでもなく、それは奴との戦いの時に感じていた事ではあるのですが…。奴が真に忠実な織田の精鋭ではない、という事に何やら不吉な想いが致しまして」 政宗「お前は心配性だなー。ま、人間の方の小十郎もそうだがよ。あんま細かい事は考えんな。要はあいつをぶん殴って、あいつに協力している奴がいれば、そいつもぶん殴ればいい話だろ?」 元パンダ「そのように単純に済む話ならば良いのですが」 風魔「……………」 政宗「ん? どうした? ――お、遂にゴールか。どうやらここが目的地のようだぜ」 元パンダ「何と……洞窟のような……。随分と先が続いているように見えますが、この様な所にこの様な場所があるとは」 政宗「当たり前のように暗ェな…。おい風魔、お前、明かりか何か持ってねーのか? って、おい! 先にさくさく進むなって、俺らはこういう所じゃ目が慣れねーと――! …あ? けど、鳥目って暗闇平気なのか?」 元パンダ「政宗様、ぶつぶつ言っておられる暇はありませんぞ! 風魔を見失います!」 政宗「分かった分かった。おぉ!? 岩がごつごつしているぜ。やっべ、足場悪過ぎ…!」 元パンダ「む……! 政宗様、あちらに!」 政宗「お! 光か! ありゃ誰かいるな、間違いなく。風魔の奴、迷わず突っ込んで行ったが、まさか今さらあいつ、敵だったとか言わねーよなぁ?」 元パンダ「あらゆる可能性を考慮に入れて参りましょう。このような地形です、まさか一個大隊がいるわけでもないでしょうが」 政宗「………何だこりゃ」 元パンダ「………!」 ――暗い洞窟を抜けて政宗たちの目に飛び込んできたのは、眩いばかりに輝く黄金のバナナ―…の木々である。 ぽっかりと開けた空間に所狭しと植わっているその樹木は、ほの暗い洞窟を照らすようにキラキラと光を発している……ように、見える。 政宗「こいつぁすげえ……。地下の果樹園ってやつか?」 元パンダ「しかし……このようなバナナの木は見た事がありません。それに…蘭丸らが持っていたバナナ爆弾とは似ても似つかぬこの輝き」 政宗「だな…一体こりゃあ……お! 風魔の奴、あんな所にいやがった。おい、てめえ、先に一人で行ってんじゃ――!?」 元パンダ「き、貴様!!」 ???「………まだ虫けらがいたか。半兵衛の言う虫けらではないようだが……」 風魔「………ッ」 政宗「!! おい、風魔!!」 ――政宗の呼びかけに風魔は応えられない!それもそのはず、遠目ではその場に立っているように見えた風魔は、実はその場にいた大男によって頭を鷲掴みにされ、僅か宙に浮かされた状態で苦悶していたのだ!! 政宗「テメエ…! おい、風魔を放せ!!」 ???「……虫けらが虫けらを庇うか。何匹向かってこようが我にはどうという事もない。時間が惜しい。まとめてかかってくるが良い」 政宗「ヘ……随分と舐めた口きいてくれるじゃねーか。こんなデカイ態度のむかつくゴリラ見た事ねーぜ。ゴリラってのはなぁ、心が優しいって相場が決まってんだよ! テメエにゴリラを名乗る資格はねえ!!」(びしっと指さしする殿) 元パンダ「ま、政宗様(汗)」←何か違う方に怒ってないか?と思って引き気味の常識人こじゅ ???「ふん……くだらぬ。かかってこぬのならそれで良し。この虫けらは我の鼻先を掠めた故、排除しただけのこと……。目的の害虫もおらぬ故、我はもう行く」(ドサリと乱暴に風魔を投げ捨てる) 風魔「……っ」(素早くその場を離れて相手と距離を取るも、大分ダメージを受けたようだ) 元パンダ「風魔! 迂闊に手を出すな!」 ???「我にはどんな小細工も効かぬ。忍の技など我の絶対的な力の前には何の意味も持たぬわ」(蔑みの台詞を吐き、くるりと踵を返してその場を去ろうとする。どうやら政宗たちが来た方向とはまた別の奥の方に違う出入り口があるらしい) 政宗「おい、待て! ――豊臣、秀吉!!」 秀吉「……………」(呼ばれてゆっくりと振り返るゴリラ秀吉。天井についちゃうぜくらいの巨体である。) 政宗「確かに、俺らもお前になんざ用はねえ…。俺らも人探しでここへ来た。だが、そいつとお前が知り合いだっつーんなら、話は別だぜ」 秀吉「……貴様はこの森には興味がないのだろう」 政宗「あ…?」 秀吉「半兵衛から、貴様と戦うのは時間の無駄だと言われている…。貴様は我の野望とは無縁。他のか弱きどうぶつ共と同じ、一瞥する価値もなき虫けらよ。――また、そんな貴様なぞに答えてやる謂れもない」 政宗「――なら、そのまま立ち去ってもらうわけにはいかねェな」 秀吉「……己と我との力の差も分からぬか。やはり人間よな」 政宗「テメエも元はその手の類だと聞いたぜ」 秀吉「ヒトであることなどとうにやめたわ。我が欲する絶対的な力を得る為に、な」 元パンダ「………」 政宗「力、力って、何だってそんなにこだわる。この森にゃ、テメエのことをあんなに心配してくれるダチもいるだろうが。一体何が不満なんだ?」 秀吉「……何の事やら分からぬな。無駄口を叩くだけなら我はもう行くぞ」 政宗「お前の野望ってなぁ、何だよ!? まぁ半兵衛はこの森の支配だどうだ言っていたが。そんなもんがお前の望むものなのか?」 秀吉「半兵衛……あれは我によく仕えてはくれるが……」 政宗「あ!?」 秀吉「……我が望むは、この森の破壊」 元パンダ「!」 政宗「………は?」 秀吉「――貴様には分からぬこと。誰に分からずとも良いこと。……フン!!」(不意に巨大な拳を振り上げてその凄まじい風圧で政宗を攻撃する秀吉!!) 政宗「……ッ!?」 元パンダ「政宗様ッ!!」 政宗「くっ……の野郎ッ!!」 秀吉「惰弱なヒトなどに何が分かろう…。この憎き墓場と共に塵となるが良い…!!」(更に第二陣、三陣の攻撃!!) 政宗「ぐああっ…!!」(秀吉の拳をもろに受け、その打撃により吹っ飛ぶ政宗!) 元パンダ「政宗様!!」(風圧だけでこじゅも吹っ飛ぶ!) 風魔「………ッ」(かろうじて踏みとどまるも、やはり飛ばされ、壁に激突!) 秀吉「………脆い。ヒトなぞ………」 ――ちりぢりに倒れた3人を冷めた目で眺め、その場をのっしのっしと去る秀吉。 政宗たちは秀吉のたった数度の攻撃で気を飛ばしてしまった!!以下次号!!! |
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つづく |