第6話「スカウトされてる場合じゃない」
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政宗「やれやれ。鬼っ子元親を引き離すのに手間取ってたら、もう昼過ぎちまいやがった。何で俺があんな奴の愚痴聞いてやんなきゃなんねーんだ」 家康「おい!」 政宗「幸村は見つからねーし…」(ぶつぶつ) 家康「おいっ! おいったら、お前! 呼んでいるだろうッ!?」 政宗「う…うおっ!?」 家康「ぎゃ!」 政宗「あ、あぶねー、踏みつけるとこだった。テメエ、人の足元ちょこまかしやがって、危ねェだろうがッ!」 家康「な、何を〜! 儂はさっきから声を上げていただろうがッ!」 政宗「はぁ…? そうなのか? けど、足元でねずみが話しかけてるなんて思わないからよ」 家康「何をッ! それくらい思え! ここはばさらのどうぶつ森だぞ!」 政宗「ま…そうなんだが」 家康「ふん!」 政宗「で? 俺に何か用か?」 家康「無礼者ッ!」 政宗「は?」 家康「貴様、この森に来て既に1週間が経とうと言うのに、何故この儂、徳川家康の所へ挨拶に来ないのだ!? これでも猶予期間を設けて待っていてやったのだぞ! それなのに…!」 政宗「…一応隣近所にゃ菓子折り持って挨拶に行ったぜ? あ、けどお前ン家は小さ過ぎて目に入ってなかったのかもな。悪ィ」 家康「ななな何だと〜ッ【怒】! あのなぁッ、儂の屋敷はこの森でも1、2を争う大豪邸なんだぞッ! 忠勝とて、ゆったり暮らせるくらいのな!」 政宗「忠勝?」 家康「……ふふ。会ってみたいか? 儂自慢の忠臣に!」 政宗「え? いや別に…」 家康「何ッ!? くうぅ〜! つくづく無礼な奴! こうなったら…忠勝、忠勝―ッ!!」 すると遥か上空からゴーッという激しいジェット音が…。 政宗「ん!?」 ホンダム「………」(シャキーン!!と武器を携え、地上にズガシャン!と着陸) 家康「はっはっは! どうだ驚きで声も出まい! この者こそが戦国最強の武将、本多忠勝! 儂の1番の家来だ!」 政宗「こりゃ凄ェ…。こんなでっかいロボットが家来なんて、アンタ、実は凄いねずみなんだな」 家康「わはははは【嬉】! やっと分かりおったか、この愚か者め!」 政宗「こいつ、空飛んできたよな? あと何が出来るんだ?」 家康「フン、教えて欲しいか!? そうだろうな、忠勝は最新攻防システムも搭載した完璧な侍だ! 興味を覚えぬわけがない!」 政宗「あと俺としては、何でねずみのアンタがコイツを従えられてんのかってのにも興味あるな」 家康「はっはっは。そうかそうか、そんなに儂らに興味を持ったか! ならば、伊達政宗!!」 政宗「?」 家康「そなた、儂の家来になれッ!!!」 政宗「…………What?」 家康「だから、家来になれ!」 政宗「……家来?」 家康「そうだ!」 政宗「お前の?」 家康「勿論!」 政宗「何で」 家康「〜〜〜! いちいち煩い奴だなッ! いいかよく聞け! 儂の夢はなッ。この世界を戦のない、平和で豊かな楽園にする事なのだ!」 政宗「……へえ?」 家康「まずはその第一歩として、このばさら村を平定する! その為にはあの小賢しい猫の半兵衛を抑えて秀吉の動きを封じ、魔王・信長の勝手も止める必要があるのだ!」 政宗「ああ…。何か猿の佐助から聞いた。そいつらが陰の支配者2大勢力なんだって?」 家康「ん? まあな」 政宗「んで、表の大将は虎の信玄って奴だと聞いたぜ」 家康「ま、まあ……あの爺さんも、なかなかにはやるがなッ。だが、あんな呑気に構えていては駄目だ! やはり儂がこの森を仕切っていかねば!」 政宗「けどよー、佐助からアンタの名前は出なかったぜ? あんま注目されてねーんじゃねーの」 家康「な、何だと〜!」 政宗「確かにこの忠勝サン…かい? こいつは強そうだけどな。ま、陣取り合戦なら俺のいない所でやってくれや」 家康「ま、待てッ! 貴様、それでは我らの仲間には入らないのか!?」 政宗「んー、まあ誘ってもらえて嬉しかったぜ? ありがとうな」 家康「なら!」 政宗「けど、パスだ」 家康「な、何でだぁッ!?」 政宗「何でってお前…」(んなのメンドーだからに決まってんだろうが…) 幸村「うわわわわわ〜! 蜂がッ! 蜂の大群に見つかったでござるうぅ〜【焦】!!!!」(ダダダダと猛ダッシュで政宗の前を通り抜ける幸村。後からミツバチの大群が追ってきている) 政宗「幸村!?」 幸村「逃げ切ってみせるでござるあぁ―ッ!!!」(叫びながらどんどん遠ざかっていく) 政宗「おい待てよ幸村! ちっ、しょうがねえな…!」 家康「! おい何処へ行くのだ!?」 政宗「とにかく、俺はアンタの部下にはならねーよ。他あたれ! じゃな! あんま力んで誰かに踏まれないように気をつけろよ!」 家康「こら! こら待たんか、このー! う、ううっ。儂を軽んじおって〜!!」 忠勝「………」(何も発しないが、去って行った政宗のデータを黙々とインプットしている) 政宗「…くっそ。また見失ったか。ったく、熊のくせしてちょこまか激しい動きしやがって」 ――蜂の大群に追われていた幸村も謎だけれど、何故その幸村を捕まえられない事に苛立ちを覚えるのか。段々とイライラが募る政宗様なのでありました。 |
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つづく |