第1話「許せん!」

幸村「う、うおおおお佐助ッ!見たか!?何だあの屋敷はぁッ!!」
佐助「何って。この間からトンカンて改築工事してたじゃん。それにあのお屋敷自体は前からあったし」
幸村「あのように巨大なものではなかったぞッ。平屋を何故あのような3階建てにするッ!」
佐助「そりゃ向こうさんの趣味じゃないの?流行の近代建築ってやつ?あの屋上、星よく見えるよきっと」
幸村「許せん〜!」
佐助「……何故って、まあ理由は聞かなくても分かるけど」
幸村「お館様のご自宅より大きいぞッ。この近辺でお館様より大きな家に住むなど、一体…!」
佐助「あのね〜旦那。そんな文句、言い掛かりに過ぎないから。お願いだから喧嘩売るのだけは…」
幸村「偵察に行ってくるあぁ〜!!」(ドドドドド……)
佐助「………俺サマは知らないからね」



第2話「一体どこの馬の骨が…!」

幸村「突然我が甲斐の領地にこのような巨大邸宅を建てるとは…!主は何処に…!」
政宗「ん…。アンタ地元の人かい」
幸村「ハッ!? き、貴様いつの間に某の前に…っ」
政宗「は? ここは俺んちの門前だし、俺はアンタが来るより前にここにいたぜ」
幸村「このような所で一体何をしている…!!」
政宗「花に水やってる」
幸村「な、何…ッ!?」
政宗「見たら分かるだろーが。今日は日差しが強かったからな」(呑気にジョウロを傾ける殿)
幸村「……い、いつから…ここに、越してきたのだ……?」
政宗「えーと、昨日だな。やっと改築工事終わったからよ」
幸村「は、そうだ! き、貴様、一体どういうつもりで―!」
政宗「ここは空気も澄んでてなかなかいい所だよな」
幸村「!! そ、それは、勿論…っ」
政宗「飯も美味いし。おっ、そうだ、お前にいいもんやるよ。ちょっと待ってな」
幸村「は? い、いや某は…!」
政宗「いーからいーから。ちょっと待ってろって。な?」(屋敷に入って行く政宗)



第3話「こ、これは…!」

政宗「待たせたな。ほら、これ」
幸村「こ、これは…!?」
政宗「ここの特産りんごで作ったアップルパイだ。俺にはちょっと甘過ぎてな」
幸村「………」
政宗「アンタ、アップルパイ好きか?」
幸村「だ……大好きで、ござる」
政宗「ん? そっか、そりゃあ良かった! なら遠慮するなって! ほら!」
幸村「う…いや、某は…! ………ぱくり」(もぐもぐもぐ。……)
政宗「どうだよ? 砂糖より蜂蜜を多く使ってみたんだが」
幸村「………い」
政宗「ん?」
幸村「美味しいでござる………(涙)」
政宗「は? ハハハ! そりゃ良かった! 俺も嬉しいぜ、そんな感動してもらえて」
幸村「くっ…!」(ダーッ!!)
政宗「って。おい! アンタ! ……行っちまった。何だったんだ?」
幸村(敵に懐柔されてしまった…! そ、某は、某はああああ…!!!)




つづく



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