第14話「転校生」

佐助「まさか同じ学校に転校してくるとはね〜。ま、この辺の高校ったら、ウチしかないけど?」(教壇の所で担任から紹介を受けている転校生政宗を見やりながら)
幸村「……っ」(ふるふる)←ちょっと感動というか興奮
元親「けっ…ヤな奴が転校してきたぜェ…なあ幸村?」
幸村「……ぼー」←政宗しか見てない
元親「なんだぁ…?」
佐助「旦那、分かりやす過ぎて恥ずかしい」(ため息)
担任おじゃる「おじゃおじゃ〜。ではでは、転校生の伊達クンには、一番後ろの席に座ってもらおうかのう〜ほほほほ。ほれ、あそこの。窓際、真田幸村の後ろの席じゃおじゃ〜」
幸村「な、何…っ!」(ガタリと立ち上がる幸村)
元親「ここしか空いてねーんだから当たり前じゃねーか。何びびってんだ」(※因みにその席は元親の隣)
佐助「良かったねー、旦那。同じ班だよ同じ班!」(※佐助は幸村の右隣。つまり元親の前の席)
担任おじゃる「おじゃじゃ〜。伊達クンは転校してきたばかりで色々分からない事もあろう。そこらへんの餓鬼共、ちゃんと親切にしてあげるでおじゃるよ〜ほほほほ」
元親「アァ!? そこらへんの餓鬼ってのは誰の事だァ!?」
佐助「俺らの事じゃん?」←担任おじゃるに慣れてる
幸村「しょっ! 承知仕りましたあッ!!」(握り拳)
担任おじゃる「ほ?」
政宗「………」
幸村「ま、政宗殿にもし何かお困りの事あらばっ!、この幸村が!」(ごうっと燃える)
元親「はぁ…? 何で幸村、あんないけ好かねェ他所モンに親切ぶってんだ?」
佐助「ぶってんじゃなくて本気なんだって」
元親「…まあ、幸村のお人好しは今に始まった事じゃねえしなあ」←全然分かってない
政宗「………」←黙って席にやってくる政宗
幸村「ま、政宗殿…っ」
政宗「………」←無視
幸村「うっ…。そ、その! 教科書などはもう揃っておられますか!? もしまだなら某が―」
佐助「前の席のアンタが貸してどうすんのよ」
元親「は? じゃあ俺かよ。俺はコイツに見してやるなんて嫌だからな。も、元就ならともかく…」(ちらりと反対隣の元就を見やる)
元就「……むす」←かなり不機嫌。さり気なく手元にも怪我の治療跡
幸村「え、あ〜、1限目は英語でござる! 政宗殿は英語得意でござるか!? 某は異国語というのはどうも苦手で…。あ! この授業は辞書も必携でござるよ、政宗殿辞書は―」
政宗「教科書も辞書も持ってる」
幸村「は…」
政宗「うぜえから、いちいち振り向いてくんなよ」
幸村「……っ!」
元親「おいテメエ! んだその態度はァ!?」(ガタンと立ち上がって戦闘態勢)
担任おじゃる「おおお!? おじゃっ!? 何事じゃ!? ここここれ、そなたたち、麿がいる所で争いなどするでない、麿の責任が問われるであろうが…ッ! おじゃおじゃ!」
元親「っせえクソ麿! テメエが喋るとイライラしてくんだよっ! 先にシめてやろうか、アァ!?」
担任おじゃる「ヒーッ! 不良でおじゃる、イマドキ流行らないノリでおじゃるよ貴族の麿には理解できぬでおじゃるよ〜いよいよい…」←泣き真似
元親「てんめぇ…! マジで人イラつかせる事に関しちゃ天下一だな…」
幸村「も、元親殿、やめて下され!」
元親「あ?」
幸村「そ、某が悪かったのでござる…。大人しくしています故…」(しょんぼりとしながら席に着き、前を向き直る幸村)
政宗「………」



第15話「某もその仲に混ざりたい」

―中休み。皆がワイワイと好き勝手に騒いでいる教室にて―

元親「ケッ…面白くねェ…」(ぶすくれて自席で頬杖をつく元親)
佐助「チーカちゃんっ。何いじけてんのー? お団子食べる?」
元親「アァ? いらねえよッ! つか、その呼び方止めろって言ってんだろうがぁ! イラつく奴だなぁ!」
佐助「まーったく。自分が機嫌悪いからって俺サマに当たんないでくれる? 大方、さっきの授業で独眼竜の旦那が大活躍してたのが気に食わないんでしょー。やだやだ、男の嫉妬はみっともないよ?」
元親「るせえ、俺は別に…ッ! …ん? ところでその団子。幸村の為に用意してきたんじゃねえのか?」
佐助「そうなんだけどさー。旦那、食欲ないって言うから」
元親「ハァ!? 幸村がッ!? 三度の飯より団子の好きなあの幸村がか!? おい幸村! お前大丈夫なのかよ!?」(斜め前の席に座る幸村に声をかける元親)
幸村「………」
元親「……? おい幸村? 聞いてのかお前―」
佐助「あー無駄無駄。今何言っても耳入ンないから。あっちしか見てないし」
元親「あっちって……うっ!」
元就「政宗」(教壇前にいる政宗に声を掛ける元就)←提出物を後ろの席の者が集める関係で前に来ていた。因みに元親はそんな面倒な事はやりたがらない。いつも佐助が代わりにやってる
政宗「ん?」
元就「今日の放課後、また貴様の屋敷へ行く」
政宗「……何で?」←ちょっと楽しそうな顔
元就「決まっておろう。再戦だ」
幸村「…ッ!」
元親「お、おい元就ッ! 待てよテメ…そ、そいつとは俺が先に―」
元就「どうなのだ政宗。受けて立つか、それとも逃げるか」←元親の声は聞こえているはずなのに完全スルー
佐助「ありゃりゃ。ナりさんの闘志に火がついてる。昨日負けたのがよっぽど悔しかったみたいだね」
元親「おい元就!」(ズカズカと2人の元へ近づく)
政宗「勿論、何度でもやってやるけどよ。もうちょっと後にした方がいいんじゃねえ?」
元就「何故だ?」
元親「ったりめえだろッ! お前、その腕の怪我…! 結構酷いんだろうが!?」(必死)
元就「煩い木偶の坊。我は貴様とは違う」
元親「はぁ!? ンだよそれは!?」
元就「とぼけるな。我は負けたままオメオメと生き恥を晒す貴様とは違うと言っているのだ。……失せろ」
元親「……ッ!! ……さ〜す〜け〜【恨】」(ゆら〜りと背後の佐助を振り返る元親)
佐助「えっ!? お、俺サマは言ってないッ! 言ってないよチカちゃん!? 何その殺気ムンムンの目線は!? 俺サマは知らないって!!」
元親「オメーじゃねえなら誰が言ったんだよッ【怒】!?」
元就「見苦しいぞ元親。政宗の側近の男から聞いたのだ。我の前に眼帯の大男が勝負に来たとな…」
元親「な……」
佐助「ほらー! 俺サマ無罪じゃん! あっぶね、危く冤罪かけられるとこだったよ〜」
元親「っくしょー…! あ、あのなあ、元就? 俺は別に負けたまんまでいようなんて思ってねえんだよっ! けどなあ、喧嘩にも色々順序ってもんが…!」
政宗「なあ。俺、席戻っていいか?」
元親・元就「「!? 駄目だ!!」」
政宗「分かった分かった。どっちでも都合いい方といつでも相手してやるよ。来たかったら来ればいいだろー(苦笑)?」
元親「上等だぁ! テメエ、俺があん時本気で闘ったとか思ってねえだろうな!? 元就の前でテメエのそのいけすかねェ面をボッコボコのズッタズタにしてやんぜ…!」
元就「ふざけるな元親。政宗と先にやるのはこの我だ。貴様の出番などないわ」
元親「だ…っ! だからお前はまだ怪我が治ってねーんだから、大人しくしてろって【焦】」
幸村「ま、政宗殿……某も……」(ぼそりとした小声で政宗には届いていない。がっくりとして項垂れる幸村)
佐助「……う〜ん」



第16話「うまく言えない」

―放課後・政宗宅前―

幸村「じいぃ……」(門にしがみ付き、その陰に隠れながら)
佐助「ねえ旦那。インターホン押して中入れば? チカちゃん達ももう来てるんでしょ?」
幸村「そ、そんな事、出来るわけないだろう…。政宗殿は某の顔を見…見るのも、嫌…なのだから…」←自分て言って自分で凹む幸村
佐助「俺サマが独眼竜に説明してきてあげようか? 武田流決闘の話すれば丸く収まる問題なんだしさ」
幸村「余計な事はするな…ッ! これは俺の問題だ! 己の事くらい己で何とかする…!」
佐助「でもさー。いつまでもそんな顔されてもさー。やってる事はストーカーっぽいし(ボソリ)」
幸村「あ…!?」
佐助「ん? あ、チカちゃん」
元親「く、くーッ! こ、こうなったら俺のとっておき最強武器であの野郎を…【怒】!」(ダダダと物凄い勢いで駆けてくる元親)
佐助「ねえねえチカちゃん! どしたの、タイマン勝負どうなった!? 見たところ無傷みたいだけど!」
元親「アァ!? …って、ん? 幸村? 何だよお前も結局来たのかよ」
佐助「声掛けてるのは俺サマだっての。ねえ、独眼竜との勝負はどうなったのさー」
元親「っせえな、やってねえよ!」(不機嫌全開)
佐助「やってない? やってないってどゆ事よ? あれほど怪我してるナりさんの代わりに自分がやるってきかなかったのに」
元親「だから、政宗の野郎が…! くそっ! 元就も元就だ、何であんな奴…!」←地団太
幸村「…政宗殿と元就殿がどうされたのでござるか?」
元親「だ、だから…ッ! 道場で政宗が、元就との勝負ン時に元就からかっぱらったっつー武器の話し始めてよ!」
佐助「あー、勝負の報酬って事で独眼竜の旦那がナりさんからせしめたってあれ? あの武器変わってるもんねー」
幸村「佐助! 言葉が過ぎるぞ、政宗殿は何も元就殿の武器を不当な方法で得たわけではないだろう! 元就殿とて納得した上で差し出されたと聞くぞ!」
佐助「……あ〜ハイハイ。すみませんねえ…(やってらんねえ〜)」
元親「だがよっ! 何もわざわざアイツにその武器の使い方とか教えなくてもいいじゃねーか! すっげー丁寧によ! お、俺には触らせてもくんなかったくせに、元就の奴!」
幸村「え…?」
佐助「はあ、なるほど。チカちゃんは、ナりさんが独眼竜の旦那と仲良く武器談義してるのに居た堪れなくなって出てきちゃったんだ? 頭にきて、最強武器で独眼竜をやっつけてやろうと、こう思ったわけだね?」
元親「……佐助、お前無駄に説明臭いぞ(汗)。…っつか、うっせーよハゲ【怒】!」
佐助「禿げてないっつの。何その失礼な子供の悪口は」
元親「煩ェ煩ェ! とにかくあの政宗の奴はこの俺が―!」
政宗「おい元親。テメエうっせーんだよ、人ン家の前で」
幸村「…ッ!!」(びくっ)
元親「あ、テメ…! も、元就は?」
政宗「お前が煩ェから、先中入ってるとよ。お前も俺と闘るっつって、突然黙って出て行くなよ。訳分かんねーな」
元親「ちょ、ちょっと待てえ!! 中…中入ってったって、どういう事だよ!? 元就がお前ん家に!?」
政宗「ん? ああ、飯食ってくかって訊いたら食ってくっつーからよ…」
元親「な、な、何だあ…【震】!」←ヤキモチモード最高潮
政宗「お前はどうするよ? 1人も2人も同じだから俺は別に構わねーぜ?」
元親「い、行くに決まってんだろーがぁッ! テメエと元就を2人っきりにして堪るかぁ〜!!」(ドカドカと屋敷内に向かって走っていく元親)
政宗「変な奴…(苦笑)」
幸村「あ…っ」
政宗「………」(嫌そうな顔で幸村を一瞥する政宗)
幸村「その…政宗殿、某も……某もっ! 政宗殿と!」
政宗「お前とは闘らねえっつったろ。俺は立ち会いにハナっから手を抜くなんつー奴とは絶対闘らねえ」
幸村「!」
佐助「あのね、独眼竜の旦那。それはね、何というか言葉のアヤっつーか複雑な感情が絡んだっつーか」
幸村「佐助! …黙っていろ」
佐助「でもさあ」
幸村「……失礼する!」(ダダダーっ)
佐助「えー? ちょ、ちょっと待ってよ旦那〜!」(呆れながらも後を追う佐助)
政宗「………」




つづく



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