九角主ED



九角「………」
龍麻「え…えと……」

門前に立ち尽くした龍麻は、黙って自分を見下ろしている九角に戸惑ったような視線を向けています。

龍麻「あ、あんまり天童には関係ないと思うけど」
九角「………何だ」
龍麻「今日さ…イブなんだけど…。一緒にいても、いいかな」
九角「…………」
龍麻「俺…どうしようって思って。みんな今頃俺の事探してるんだろうけど、でも俺はあいつらの誰も選びたくない」
九角「だから何だ」
龍麻「だ、だから…とりあえず…」
九角「あ!? とりあえずここに置いてくれってのか? 馬鹿かテメエ!」
龍麻「ひ! そ、そんな怒鳴らなくても…!」
九角「煩ェ! ふざけるな、馬鹿が! とっとと帰れ!!」
龍麻「な、何だよ…! 馬鹿馬鹿言うなよ…っ!」
九角「馬鹿を馬鹿と言って何が悪い、この大馬鹿野郎が!」

九角はひどく憤慨したようになり、踵を返しました。
表口に立つ龍麻を置いてきぼりにして、家の中に入って行こうとしています。
けれども。

九角「………だから」

九角は背中を向けたままでしたが、自分の背後の龍麻の様子が分かったのでしょうか。
はあと深くため息をついて、ゆっくりと振り返りました。

九角「だから泣くのはやめろ。俺が泣かしたみたいだろうが!」
龍麻「……ッ前の、せいだ…ッ」

龍麻は九角に顔を見られまいとして俯いてはいましたが、肩を激しく上下させて、しゃくりあげて泣いていました。

九角「おい」
龍麻「………ッ」
九角「おい。おいって言ってるだろうが! 顔を上げろ!」

九角はイラついたような声を出すと龍麻の傍に再び歩み寄り、自らの指先を龍麻の顎にかけると、無理に自分の方を向かせました。

龍麻「……!」
九角「……ちっ。全く、ムカつく奴だ…ッ」

九角は泣きはらした龍麻の瞳を覗き込むと、一瞬だけ苦い顔をして―。
けれども、すぐさまそんな龍麻の唇を奪ったのです。

龍麻「……ッ!」

驚いた龍麻は反射的に九角のその所作に逆らおうとしたのですが、九角はそれを許してはくれません。

九角「おとなしくしろ」
龍麻「天ど……」
九角「……何が『とりあえず』だ」
龍麻「あ……」

龍麻がはっとして何か言おうとした瞬間、しかし九角はもう一度龍麻に自らの唇を重ねました。
それはとても激しくて、深くて。
龍麻はぐらりと身体の中から自分の力が抜けていくのを感じました。

九角「………フン」
龍麻「あ…天童……」
九角「いい加減、認めろ。お前には俺が必要だ」
龍麻「……………」
九角「お前には……俺しかいないんだろうが」
龍麻「…………うん」

龍麻が限りなく小さくつぶやいて、九角の胸にもたれかかると。
九角はようやくふっと笑んで、龍麻の身体を力強く抱きしめました。

龍麻「天童……ここにいたいよ」
九角「……ああ」
龍麻「いても…いい?」
九角「馬鹿が」
龍麻「ま、また言った! 何だよっ! いていいのかって―」

けれど龍麻は再び唇を塞がれて、もう何も言わせてはもらえませんでした。
ただ九角の自信に満ちた笑顔だけが微かに視界に映って、龍麻はその後はゆっくりと目をつむりました。


こうして2人は鬼道衆や貴方がひっそりと見守る中、ゆっくりと屋敷の中へと入って行きました。



盲目の者の貴方は美里様との約束を果たす事ができませんでしたが…。
ハッピーエンド…ですよね?





この後の2人を見たいという方は…。
このページのどこかにある秘密部屋への入り口を探してみて下さい。
ただし企画室のくせにこの先は18禁です。
それを踏まえた上でどうぞです。


そんな破廉恥な!わたくし、戻ります!