復活!!いたずらひーちゃん♪




第拾壱話「ひーちゃん♪再びいじける」の巻



ふっふっふ。次のターゲットはアイツだ!
ガラガラガラ…!っとね。(ある場所の引き戸を開けて中に入り込む龍麻)
う〜ん、相変わらず落ち着いた店構えだなあ。
ん…へへへ、来た来た。

如月「……ん。誰か来たと思ったのだが」

ふっふ。やはり忍者でも俺の姿は見えないんだな。

如月「…しかし妙だな。明らかに人の気配がする…」

!! ぎ、ぎく…っ!!
さ、さすが翡翠だ…。これは慎重にいかないと。
うわっ…。な、何か近寄ってきたぞ。大丈夫かな…。

如月「…誰かいるのか?」

……………。

如月「気のせいか…。む…?」

そろーり、そろーり。
ふふふ…。よし、翡翠にはこの悪戯でGOだ!
見よ! 誰の手にも触れられていない招き猫が浮かび上がるぞー!!
(龍麻、如月の脇をすり抜けて、招き猫を持ち上げて見せる。当然、如月からは―)

如月「猫が―浮いている?」

そーらそーら、猫が右に左に飛んでるぞー!!←子どものようにはしゃぐ龍麻
かと思うと、下に落ちそうになったり!して!!
(招き猫をぶんぶんと揺らす龍麻。かなり幼稚な嫌がらせである)

如月「!! 龍麻! よさないかっ!!」

!!!!
え、ええ!?

如月「それは他の商品とは比べ物にならない程の値打ちものだ! 戯れに触るのはやめてくれと言ったはずだよ?」

ひ、翡翠……な、何で……。

如月「ほら、返したまえ」←言いながら宙に浮いた(ように見える)猫を取り戻す如月

翡翠っ! どうしてっ!?
何で俺だって分かったんだよ!?
翡翠には俺の姿が見えるのかっ!?

如月「いや、見えないよ」

じゃ、じゃあ何で……。 

如月「実際のところ、僕も今間近に君の声を聞いて驚いている。やはりそこにいるんだね、龍麻」

い、いるよ、いるけど…。
でも「やはり」って…。あてずっぽうだったわけ?
どうして翡翠は俺がいるって思えたんだよ?
俺、透明人間なんだぜ?

如月「いや、何となく、だけどね。こんな馬鹿な悪戯をするのは君しかいないと思った」

は………。

如月「君はうちに来る度にこの猫に触りたがるしね。僕があんなに何度も注意しているっていうのに」

ぐっ…!
そ、それにしたって、もう少し驚けよな!
翡翠はびっくりしないのかよ、俺がこんなんなっててさ!

如月「驚いていると言っただろう。しかし忍たるもの、無闇に己の感情を表に出すのは―」

……フン、何だよ! 
翡翠にとっては、俺がこんな風に困っててもどうってことないんだな!
何が忍者だよ! 別に驚いたり心配するくらい、してくれたっていいじゃないか!!

如月「龍麻、君、困っていたのかい」

あ、当たり前だろ! どうやって元に戻れるかも分からないのに!!

如月「その割には、人の家で悪戯をする余裕があるみたいじゃないか」

う……。

如月「しかも随分楽しそうに」

むっかー!! もうあったまきた!!
ああ、そうだよ! 俺は悪戯してるよ、暗いよ陰険だよ暇人だよ!!

如月「そこまで言ってないだろう? 大体、透明を元に戻すなら―」

くそうくそう、こうなったらこの店の高い商品壊しちゃうぞ!←聞いてない

如月「!? た、龍麻、一体何をするんだ!!」

ふん! 感情を表に出しちゃいけないんだろ!
そーらそーらこのツボを割っちゃうぞー悔しかったら捕まえてみろー!!

如月「龍麻、馬鹿をするな! 君は一体幾つになったと思ってるんだ!!」

知らないよっ! 翡翠がちゃんと俺のこと見ててくれないからじゃんか!!
ほーらほーら今度はこっちのお皿を投げちゃうぞー!!

如月「龍麻!! いい加減にしないか!! 僕を怒らせたいのかい!!」

……………。

如月「全く、何をヤケになっているんだ。いいかい、透明を元に戻すにはね…」

うわーん!! 翡翠のばかー!!!←やっぱり聞いてない

如月「!?」

俺のこと放っておいた上に、そんな怒らなくたっていいじゃないかー!!
わーん!! 翡翠なんか、翡翠なんか、奈涸さんにファン全部取られちまえー!!

ガラガラガラ! ピシャリ!!(引き戸が開いて閉まった。龍麻、退場)

如月「龍麻…ッ! くっ、また僕に余計な心配をさせる気か…!」


(こうして、いじけたひーちゃんはますます今後のいたずら相手を探して彷徨うのでした。そして、どんどんとそんな龍麻を追う人々は増えていって…。以下、次号!!




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