「雨」 〜本日の訪問客・アラン蔵人〜 |
アラン「Oh、アミーゴ―ッ!!」(どどどどどと怒涛の如く駆け寄ってくるアラン) 龍麻「う…わっ…たた! ア、アラン! よせ、いきなり抱きつくなってのッ(焦)!」 アラン「No―! 絶対離しまセンッ! ボク、こうやってアミーゴのこと、ずっとずっと抱きしめてマスッ!」 龍麻「よ、よ、よせ…ッ! 暑苦しいだろーが、お前はァッ!!」 アラン「ひどいデス、アミーゴ! アミーゴはボクの事嫌いなのデスカ!?」(ぎゅうと更に強く抱きつくアラン) 龍麻「うぐ…っ。そ、そんな事言ってないだろ…ッ!」 アラン「ボク…ボク、アミーゴが大変だって聞いてすぐにここに来ようとしましタ。それなのに、今日の今日マデ来られませんデシタ…。ミナ、ボクの事邪魔したデース! だからボク今日はアミーゴを放しまセーンッ!」 龍麻「わ、分かった。分かったから、とりあえずは落ち着け。俺はここにいるだろう! お前から逃げようとだってしてないじゃないか!」 アラン「……………」 龍麻「な? 別に何処に行ったりもしないし。今日はお前に付き合ってやるからさ」 アラン「………イヤデース」 龍麻「は?」 アラン「ボク、アミーゴを抱きしめているこの腕…絶対ほどいたりしまセン」 龍麻「ア、アラン…・・・」 アラン「……セッカク」 龍麻「え……?」 アラン「セッカク、アミーゴのコノ身体、柔らかくてキモチイイのに」 龍麻「…………アホかッ!」(ゴンッ!と思い切りアランに拳骨をくらわせる龍麻) アラン「アウッ…! ア、アミーゴ痛いデース!!」(両手で頭を抱えるアラン) 龍麻「お前がしょーもない事言うからだろ!」 アラン「だ、だって……アミーゴ、抱き心地サイコー……」 龍麻「……黄龍くらいたいらしいな」 アラン「!! Oh、アミーゴ、ゴメナサイ…。ボク、ニホゴ下手ダ〜カラ、キト、言い方間違えたネッ(焦)」 龍麻「全く調子のいい…。いきなりたどたどしいアヤシイ喋りになりやがった」(呆れたようになって拳をしまう龍麻) アラン「ところでアミーゴ! アミーゴが病気ってホントなのデスカ?」 龍麻「……アランはどう思うんだよ」 アラン「ン〜、見た目はいつも通りネ。ボクに放ったパンチも力強かっタ。アミーゴ元気ソウ」 龍麻「なら、それでいいだろう。俺は健康なんだよ。だから病気かどうかなんてわざわざ訊くなよ」 アラン「Oh、デモそれは違ウ。いくら見た感じが元気そうデモ、目には見えない範囲で分からないコトってたくさんアル! ダカラ、ボクは訊いたのデス」 龍麻「………ふん」 アラン「アミーゴ。アミーゴはとっても元気そうだケド、でも、もしかするとボクが気づかないところデ具合の悪いトコあるかもしれナイ。アミーゴ我慢してしまってるかもしれナイ。そんなのはボクは嫌ダカラ。ボクは、だから訊くの止めないのデス」 龍麻「………そうかよ」 アラン「ハイ!」(にっこり) 龍麻「……………」 アラン「だからモ一度訊きますネ。アミーゴ、悪いところないデスカ?」 龍麻「ないよ。ないって言っただろ」 アラン「ハイ、それはさっき聞きましタ」 龍麻「分かってるならそんな何回も訊くなよ!」 アラン「No、それ違いマス。ボクがさっき訊いたのは、アミーゴの身体のコト。今訊いたのは、ハートの方デス」 龍麻「……っ!」 アラン「アミーゴ、苦しいコトないデスカ? 何か、哀しいコトないデスカ?」 龍麻「な、何だよ……」 アラン「What?」 龍麻「何なんだよ、お前! アラン! お前いつもヘラヘラして能天気っぽい感じなのに! 何そんな顔して真面目な質問してんだよ!」 アラン「おかしいデスカ?」 龍麻「おかしいよ! 全っ然似合わない! 誰だよお前って感じ!」 アラン「ボクはアラン蔵人デス」 龍麻「!? そ、そんな事訊いてんじゃない…ッ」 アラン「ン…。でもアミーゴ、今ボクのコト『誰』?って」 龍麻「違う違う! 俺が言ったのはそういう意味じゃなくって〜!」 アラン「?」 龍麻「………もお、いいよ」(ふうとため息をついてそっぽを向く龍麻) アラン「……………」 龍麻「……………」 アラン「アミーゴ」 龍麻「………何」 アラン「アミーゴ」(龍麻の肩先とつんと指でつつくアラン) 龍麻「な、何だよ、もう!」 アラン「アミーゴ。こういうボクも、いつものボク」 龍麻「え?」 アラン「今日みたいにアミーゴに真面目なコト訊くボクも、『いつもヘラヘラして能天気』なボクと同じネ。違うモノじゃナイ」 龍麻「アラン……?」 アラン「どんなボクもアラン蔵人デス」 龍麻「……………」 アラン「たとえ『誰だオマエ!』って突っ込まれる面があってもネ」(ウインクして笑いかけるアラン) 龍麻「あ、あれは…! だってさっきのアラン…本当に別人みたいだったから…」 アラン「ハハハッ! それじゃあ今夜は、アミーゴにまだ教えていないボクを教えてあげるネ! ボクの全部をアミーゴに教えてアゲル!」 龍麻「ちょ、ちょっと…」 アラン「さあアミーゴッ! ボクのこの広い胸に飛びつくネー!!」(がばあっと両手を広げて龍麻に襲いかかろうとするアラン) 龍麻「う、うぎゃー! ここここら! 何しようとしてんだお前はー!!」(しかしアランの一撃を龍麻は寸前でかわした!) アラン「HAHAHAHAH―! アミーゴ、逃げないデ! お互いを知り合うには、スキンシップが1番ネ―!」 龍麻「あほかー! そっちのお前の事は俺はよく分かってる! だからいらん、スキンシップなんか―!」 アラン「照れないデ、アミーゴ! ボクがアミーゴを全部ゼーンブ包んでアゲル! 何も心配いらないヨ!」 龍麻「もう…っ。ふざけてんのか真面目なのか…! お前ってホント、分からない奴!」(しかしどことなく嬉しそうな龍麻であった…) 以下、次号… |