「雨」
〜本日の登場者:蓬莱寺京一の特典♪〜


京一「へ…へっくっしょ!! う〜さびい…。風邪引いたかな…」(旧校舎の教室の一角に入り込んだ京一と龍麻)
龍麻「当たり前だよ、あんな所でずっと雨に濡れてたら…ほら、制服脱げって!」
京一「きゃーいやん、龍麻君のえっちー♪」
龍麻「………京一」
京一「!! う、嘘!! 冗談だって!! ひ、ひーちゃん、その殺気立った顔はやめろよ〜」
龍麻「お前がバカな事言うからだろ!」(ぽかりと京一の頭をこずいて受け取った学ランを傍の椅子に掛ける龍麻)
京一「う〜それにしても寒ィなあ。暖房とかないのかよー」
龍麻「あるわけないだろ(汗)」

京一「やっぱこっちじゃなくてよー学校に忍びこもうぜ。ガラス窓ぶち割って」
龍麻「犯罪だろそれ……」
京一「いーじゃねえかよ。俺らはここの治安を護る為に一晩ここで夜を明かそうってんだから。それくらいしたってお天道様は見逃してくれるぜ」
龍麻「なら尚更ここにいた方が対処できるよ。……でも、京一は嫌なら帰っていいよ」
京一「なっ! な、何言ってんだよ、ひーちゃん!!」
龍麻「お前はもう十分ここで戦ったんだから。後は俺が独りでここにいる」

京一「こらひーちゃん……」
龍麻「それに多分…もうここにそんな敵はいない感じがするし。様子は見た方がいいと思うけど」
京一「様子見なら尚の事2人の方が都合いいだろ。俺は帰らねェぞ。大体俺がこんな所にひーちゃん残して1人でさっさと帰れると思ってんのかよ?」
龍麻「………でも」

京一「俺は平気だって! 大体血なんかとっくに乾いちまったよ。ほら!」(ぶすりと自分の指を傷口に突き刺して見せる京一)
龍麻「あ…!」
京一「いって―!!」(ブシューッと再び額から血を吹き出す京一)
龍麻「もーう、バカバカ! 何やってんだよ、一体!!」(慌てて京一の傍に寄って傷口に先刻のハンカチを当てる龍麻)
京一「おぉ〜いて。あーびっくりしたぜ」

龍麻「びっくりしたのはこっちだ! ほら、座れって」
京一「ん…おお」(言われるまま床にすとんと座り込み、壁に寄りかかる京一)
龍麻「せっかく止まってたのに……」(同じく京一の横に座り、傷口を押さえ続ける龍麻)
京一「………う」
龍麻「……? どうした、京一」

京一「いや…な〜んか、この距離がな…」
龍麻「え?」
京一「このシチュエーションもだけどよ。すぐさまひーちゃんを押し倒せそうな感じじゃねえ?」
龍麻「………京一」
京一「わっ! だ、だからそんな目で見るなって! 冗談だって、冗談!」
龍麻「くだらない冗談は命を縮めるぞ」
京一「こ、怖ェ事言うなよ、ひーちゃん」
龍麻「ふ………」(びくびくしたような京一に表情がすっと緩む龍麻)
京一「…あーしかし陰気な所だぜ…」(きょろきょろと辺りを見回す京一)
龍麻「そりゃそうだろ。元々もう取り壊してもいいような所なんだし…」
京一「ひーちゃんってこういう暗闇とかって怖くねえの?」
龍麻「え? 俺は別に…。だってこういうのって何か慣れちゃっただろ。この奥にだってしょっちゅう潜ってるんだし」
京一「ああ、まあそうだな。でもよーここでひーちゃんが暗いのとかにびびって俺に縋りついてきてくれたりしたら楽しいんだけどなあ」
龍麻「………京一。お前何度目だ?」
京一「い、いいじゃねェかよ。俺はこの場の空気を明るくしようとしてだな」
龍麻「いらないの、そういう冗談は」
京一「………じゃねーのに」(ぼそ)
龍麻「ん? 何?」
京一「なーんでもねーよっ」
龍麻「むっ、何だよその言い方! 言えよ、気になるだろ!」

京一「……言ったら怒るだろーがよ……」
龍麻「京一」
京一「あー煩ェなあ! 本当は冗談なんかじゃねーって言ったんだよ!」

龍麻「え……」
京一「ひーちゃんに縋りついて来てほしー!!」
龍麻「きょ、京一…ッ」
京一「だって言えって言っただろ」
龍麻「だ、だからって…! 叫ぶな、そんな事!」
京一「いてっ! ひでえよ、ひーちゃん。怪我人殴るなんてよ」
龍麻「お、お前がバカな事ばっかり言うから…っ」(ハンカチを京一の胸に押し付け、ぷいとそっぽを向く龍麻)
京一「ちぇっ」
龍麻「……………」
京一「……へ、へ、へっくしょ!! う〜」(ずると鼻をすする京一)
龍麻「……………」(ちらと京一を盗み見る龍麻)
京一「ったく、よく降るよなァ…」(外の雨に向かって視線を遠くへやる京一)
龍麻「………京一」
京一「ん? どうした、ひーちゃん?」
龍麻「……………」
京一「? どうした? 何か…気分とか悪ィのか?」
龍麻「ううん…」(ふるふると首を横に振るも、どことなく寂しそうな龍麻)
京一「本当か? それとも俺がバカな事ばっか言うから何か気に触ったか?」
龍麻「違うっ。そんなんじゃないよ!」
京一「……? なら……いいんだけど、よ…」
龍麻「………京一」
京一「ん?」

龍麻「………俺、やっぱり…」
京一「ひーちゃん?」
龍麻「やっぱり……俺……ぃ…」
京一「へ? 何だ、どうしたひーちゃん?」
龍麻「怖い、俺……」
京一「ひーちゃん……」
龍麻「俺…大丈夫かな……」
京一「大丈夫って…何がだよ」
龍麻「…………暗闇なんか怖くはないけど」
京一「…………」

龍麻「京一……」(京一の胸にこつんと身体を預けてくる龍麻)
京一「ひーちゃ……」
龍麻「もっとバカみたいな事言えよ。冗談言って、京一……」(ぎゅっと目をつむって京一に縋る龍麻)
京一「……………」
龍麻「俺、ズルイな。こうやってお前にばっか甘えてさ…」

京一「………バカだな、ひーちゃん」(ふっと笑って龍麻の背中に腕を回す京一)
龍麻「……どうせ俺はバカだよ……」(再び泣きそうになる龍麻)
京一「いじけるなって。そういう意味じゃねえよ。いいんだよ、いくらでも甘えてよ」
龍麻「…………」
京一「ひーちゃんが望むならいくらでもバカやってやる。冗談だっていっぱい言ってやるぜ?」
龍麻「京一……」
京一「ひーちゃんには俺がついてんだろ? この天下無敵の蓬莱寺京一がよ。だから…そんな顔すんな。安心してろよ。な、ひーちゃん」(言って龍麻の髪に唇を落とす京一)
龍麻「………うん」




おまけ話、完♪







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