「雨」 〜本日の訪問客・マリイ・クレア〜 |
マリイ「龍麻オニイチャン、マリイが来たヨ!」 龍麻「……マリイ」 マリイ「オニイチャンが病気ダッテみんなが言ってたカラ! マリイ、オニイチャンの為に美味しい物作ってアゲル! いっぱい色いろ買ってきたノ!」 龍麻「わざわざ買い物して来てくれたのか」 マリイ「うんッ! ダッテ、マリイの大好きなオニイチャンの為だもん! マリイ、一生懸命頑張るネ!」 龍麻「マリイ…」 マリイ「ねェ、龍麻オニイチャン。オニイチャン、お熱あるノ? お腹痛いノ?」 龍麻「大丈夫だよ、マリイ。俺の病気はね…。身体の病気じゃないんだ。心の病気なんだって」 マリイ「? ココロ…ノ?」 龍麻「そう。俺の心はね、どっかへ行ってしまったんだって」 マリイ「…………」 龍麻「あ…ははは。マリイにこんな話しても難しいよな。ごめんな」 マリイ「ウウン! そんな事ナイ! オニイチャンのお話、マリイだって分かるモン!」 龍麻「うん」 マリイ「本当ダヨ! それにどんな病気ダッテみんな同じ。辛いノ同じ。そういう事、マリイは分かル」 龍麻「マリイ?」 マリイ「ココロが苦しいト…ずっとずっと胸が痛いんだよネ」 龍麻「え………」 マリイ「ズキズキ痛かったり、ぎゅっと痛かったりするノ。それはとっても悲しくっテ、泣きたくなル。そのせいで時々、使いたくないノニ、《力》が出ちゃったりモ、したヨ」 龍麻「それ…マリイが学院にいた頃の話?」 マリイ「………ウン」 龍麻「そうか」 マリイ「…………」 龍麻「辛かったな、マリイ」 マリイ「ううん! デモ今はモウ平気だもン! 今は葵オネエチャンがいる! 龍麻オニイチャンも、みんなもいる! マリイはサビシクないヨ!」 龍麻「そうだな…」 マリイ「エヘヘ…葵オネエチャンはトッテモ優しいんだヨ。パパもママも」 龍麻「そっか。美里はすっかりマリイのお姉さんなんだな」 マリイ「ウンッ! 葵オネエチャンはとってもとーってもキレイで優しくて強くてカッコイイ! マリイもいつか葵オネエチャンみたいになるノ!」 龍麻「はは。憧れのお姉さんなのか」 マリイ「……でもオネエチャン、今は…。龍麻オニイチャンが病気で心配してル」 龍麻「あ…うん。ごめんな。あいつ、元気ないのかな」 マリイ「ウウン……」 龍麻「?」 マリイ「暴れてル」(思わず身震いするマリイ) 龍麻「え?」 マリイ「はっ! な、何でもナイ(焦)! 何でもないヨッ? それより龍麻オニイチャンはちゃんと休んでテ! マリイ、その間に美味しいお料理作るカラ!」 龍麻「それじゃあ…俺も手伝うよ」 マリイ「駄目―ッ! マリイが1人でやるノッ!」 龍麻「でもマリイ、普段料理なんかするのか?」 マリイ「するヨー。ママのお手伝いで一緒に台所立つモン! ほら、これマリイのエプロン!」 龍麻「へえ可愛い。ん…? で、でもそのエプロンの柄って…?」 マリイ「これ、葵オネエチャンがアップリケ! つけてくれたノ! オニイチャン、カワイイ?」 龍麻「い、いや…うん…。か、可愛いけどね。えと、それって美里と俺なのかな?」 マリイ「そう! それでね、葵オネエチャン、マリイを2人のムスメにしてくれるって、だから真中!」 龍麻「………えーと、その周囲にちっさくあるのは…?」 マリイ「聖女・ボサツ様に倒されたらいばる達」 龍麻「は、はあ…?」 マリイ「龍麻オニイチャン、病気の時は消化の良いおうどんがイイって、ママが言ってたカラ! マリイ、おうどん作るネ! 具はネ、卵とネギとちくわとはんぺん!!」 龍麻「……はんぺん?」 マリイ「あとネ! ガンモとこんにゃく、じゃがいもとダイコン!!」 龍麻「そ、そんなに入れてくれるんだ? でもそれってうどん…?」 マリイ「エヘヘ…マリイ、こうやって龍麻オニイチャンのオウチに来たの初めてだヨ」 龍麻「あ、うん…。そうだね」 マリイ「えーとえーとお鍋はコレ! まな板洗って、包丁出しテ。 お鍋にはお水を入れテ…火をつけるネ!」 龍麻「!! マ、マリイ、まさか―ッ?」 マリイ「ウンッ! マリイが出すよッ! ガス代が助かるってママいっつも喜ぶ!」 龍麻「ちょちょちょちょっと、待った待った待った―ッ!!」(大慌てでマリイを止めに台所へ走る龍麻) マリイ「ナアニ、オニイチャン?」 龍麻「はあはあ…。い、いやあのね? 美里の家はそういうの平気かもしれないけど、うちでは危ないから止めて欲しいなって。ア、アパートだからそれ失敗して火が飛び散ったらさ」 マリイ「平気だヨー。マリイ、慣れてるモン」 龍麻「い、いやいや、いつもは美里やママがついているんだろ? 1人で鍋持って火をつけるってのは危ない! 頼むから止めてくれ! それに火事うんぬんはともかく、何よりマリイがそれで火傷とかしたら大変だしさ」 マリイ「……………」 龍麻「マ、マリイ…? せっかく作ってくれるって言ってくれたのにこんな事言って…気分悪くしたか…?」 マリイ「ウウン。龍麻オニイチャン、マリイの心配してくれるノ?」 龍麻「あ、当たり前だろ。マリイは俺にとっても妹みたいなもんなんだから」 マリイ「……………」 龍麻「マ、マリイ、まだ夕飯までには時間早いし。その前にゲームでもやろうか? 今、俺ハマッてるのがあるんだ。一緒に遊ぼう」 マリイ「……ミンナが言っている事、全然チガウ」 龍麻「え…?」 マリイ「龍麻オニイチャン、病気のせいでミンナの事もマリイの事も忘れちゃったって言ってタ。…デモ、オニイチャンはいつもの優しいオニイチャン。全然変わってナイ!」 龍麻「………マリイ」 マリイ「龍麻オニイチャンは病気ナンカじゃナイ! どうしてミンナ、あんな事言っているノ?」 龍麻「……ありがとう、マリイ。俺も久しぶりに…焦ったりびっくりしたりして…暗い事忘れられてた。でも…」 以下、次号… |