「雨の午後」 |
【如月骨董品店】―。 龍麻「ここ…は……」 気づくと龍麻はその店の前に放り出されていた。腰が抜けたように動けない。 龍麻はただその場所を茫然と見上げ、座り込んでいた。 龍麻「……翡、翠……」 その名前を呼んでみる。掠れた声だが、確実にその名前を。 龍麻「…………翡翠」 もう一度呼んだ。 龍麻「開けてくれよ…翡翠……」 けれど反応はなかった。店の奥へと耳を済ませようとするも、何も聞こえない。 ただ、雨の音だけ―。 龍麻「いないよ…な。だってどっかへ行っちゃったって………」 ???「そこで何をしている?」 龍麻「………ッ!?」 そんな龍麻に突然背後から声がかかった。 背中に誰かの影を感じ、龍麻は慌てて振り返った。 龍麻「あ………」 その人物は…… |