《17》 |
鬼道衆一の平凡男が空の星となって消えた頃。 鬼道衆唯一の紅一点・水角は、未だ雹の屋敷にいた。 客A「すみませーん、この栞くださーい」 客B「私はこの間買った絵巻物を♪ 隣のお友達にも布教してあげるの♪」 水角「はいはい、ありがとうございます♪ どんどん布教して下さいね〜。布教=メジャーカプリングへの第一歩ってね!」 客C「もう私たちの中ではメジャーカプリングですよー」 客D「そうそう、この2人以外考えられなーい♪」 水角「はいはい、並んで並んで〜。あ、スケブ? スケブはね〜今ちょっと雹ちゃんもわらわも手が離せないから〜ごめんなさいね〜」 ガンリュウ「…………(汗)」 水角「はっ、ガンリュウ! そんなところで油を売ってないで、ほらほら持ち場に戻った戻った!」(しっし!) ガンリュウ「…・・……(疲弊)」 現在、鬼哭村の一角、ある屋敷では秘密の同人誌即売会が行われていた……。(あんなに騒いでてどこが秘密なんじゃ) 雹が水角による洗脳に汚染されるのの何と早かったこと。その光の速さたるは、まさしくホ○エロパワー以外の何物でもなかった! 辛い生活が祟っていたのだろう。雹も疲れていたのかもしれない。 その反動か、はたまた天性の才能か。彼女は今、燃えに燃えていた!(萌えに変換しても可) 水角「雹ちゃん〜。今日の販売はこれにて終了だぞよ。これ、お茶♪ ちょっとは休んだらどうだえ」 雹「ん…。いや、あとこの一筆加えれば区切りが良い故な…。少し待て」 水角「あんまり根詰めると身体壊すよ〜」 ガンリュウ「…………ガクン」(頷いた模様) 雹「こらガンリュウ! 腕を休めるでない!」(びしり!) ガンリュウ「………っ(焦)」(しゃかしゃかと筆を動かし始めるガンリュウ) 水角「それにしても雹ちゃんがこんなにハマってくれるとは思わなんだ♪ しかもまだ見ぬ御屋形様とひーちゃん様のご先祖様の萌え萌え同人誌を作ってもらえるなんて〜【幸】」(出来上がった絵巻物の一つを取り上げて満足そうな水角) 雹「……ふう。さて、わらわも少し休むとするかの」(仕事机からガンリュウの身体を離し、水角の傍に座る雹) 水角「あ、雹ちゃん。はい、お茶とお菓子。飲んで食べて〜」 雹「すまぬな、水角。色々させてしまって。いつもは人形たちにやらせるのだが、今は皆総動員で仕事にあたっているゆえ」 水角「いいのいいの、気にしないで。雹ちゃんが時を越えてわらわ達の九主魂に共鳴してくれた事が何より嬉しいんだから♪」 雹「む…わ、わらわもこの世にこれほど胸ときめくものがあるとは…今まで知らなんだ。水角には感謝しておる」(ぽっと頬染めの雹姫) 水角「うふふ♪ わらわ達、何だかとっても気が合うのよね♪ よくよく見たら顔も何となく似ている気がするし…」 雹「そうか? …わらわにはもう家族と呼べるものはこのガンリュウしかおらぬが…もしかすると水角は時を越えてわらわの元にやってきてくれた、本当の家族なのかもしれぬな…」 水角「え……?」 雹「……とても嬉しいのだ。そなたが来てくれた事」 水角「そ…そそそそんな〜! いやだよ、雹ちゃん。そんな真面目な顔で嬉しい事言わないでよ〜(焦)」 雹「ふふ……」 水角「……うふふ。あ、そうそう、早くこのお菓子食べて食べて〜。わらわの自信作だから」 雹「おお…これは?」 水角「うっふふー。このお屋敷、色々食べ物もあって、お菓子作りには最適だったし楽しかったぞよ。わらわは現代の世界では、ひーちゃん様に美味しいお菓子をよく作ってさしあげるからねえ〜」 雹「ふむ…変わった形じゃ。饅頭とは違うのだな」 水角「アップルパイだぞよ。どうかえどうかえ」 雹「ふむ…! 何と、とても美味いな!」 水角「ほーんと! ふふふ良かった〜。ああ〜こっちの世界にいるひーちゃん様のご先祖様にも是非食べて頂きたいねえ」」 雹「………おお、そうだった。そういえば水角には散々世話になったが、まだ龍様を紹介しておらなんだな?」 水角「あ、そうそう! 何か雹ちゃんの本読んでたから、会った気でいたんだけど。すっかり忘れていたぞよ。わらわの目的はこっちの世界にいる御屋形様とひーちゃん様に会う事なんだえ」←そうだったか? 雹「ふふ…。龍様はわらわの絵巻になぞ表現し尽くせぬ程素晴らしきお方だ。是非水角にも会って欲しい。のう、ガンリュウ?」 ガンリュウ「…………(汗)」(「微妙…」とでも言いたげなガンリュウ。割とまともな性格らしい) 水角「ホントかえ、ホントかえ? 会わせてもらえるのかえ! やったぞよー!!」 雹「少し待っていてくれ。龍様は恐らく御屋形様の屋敷にいるはず…。さすがに村の者でないおぬしをあの屋敷にいきなり連れて行くわけには行かぬから…わらわが呼んでくるぞ」 水角「ええっ、そんな雹ちゃんがわざわざ? 悪いぞよっ(焦)」 雹「ふ…気にするな。村を歩きたいのだ。わらわたちの情熱によって楽しい顔をしてくれているだろう娘たちの顔を眺めながら…な」 水角「雹ちゃん…(じーん)」 雹「すぐ戻る。行くぞガンリュウ」 ガンリュウ「………(渋々)」 水角「行ってらっしゃーい!」 雹が屋敷を離れた事で、辺りは急にしんとした空気に包まれた。 水角はひどく満たされた気持ちになりながらごろりとそこに寝そべった。 いきなり未知の世界に投げ込まれ、独りにされて、一時はどうなる事かと思ったが……。 他の仲間たちがどうしているかは分からないが、やはり妄想を愛する力に敵うものはないなと思う。 ガタリ。 水角「ん……? 何だえ?」 しかしその時、不意に戸口の方で音がするのが聞こえた。何者かが入ってきた音が。 雹が帰ってきたにしては早すぎる。 水角「雹ちゃーん…? 忘れ物かえ?」 ???「…………」 水角「ん…んん…??」(目を凝らして前方の戸口付近を見やる水角) ???「………お前か。突如村に住み着いたという鬼面の女は……」(灯りのない入り口付近にそう言って立つ暗い人影が…) 水角「ふえ…だ、誰だえ…(汗)? もう今日の即売会は終わったぞよ…?」 ???「………随分なものを売りつけているようだな」(ちゃきん…と背中にさしていた刀を取り出す男) 水角「ひ…っ! な、何だえ何だえ! も、もしや御屋形様とひーちゃん様の仲を嫉妬する輩!? やっぱしこの時代にもそういう厄介な男共は後を断たないっ!?」 ???「……………」(男は一歩水角に歩み寄った。その顔がゆらりと見えた) 水角「!!! そ、その顔は…っ!? ななな名を名乗れーっ」 ???「………壬生」 水角「うぎゃあっ、やっぱり! み、壬生っ、壬生のご先祖なんだねーっ!?」 霜葉「……雹をたぶらかし、口の端にのせるのもおぞましき物を人々に広め……」(ゆっくりと水角に近づく。かなり殺気立っている模様) 水角「ぎゃ、ぎゃああっ。ななな何か子孫よりめちゃくちゃ怖い〜っ。レベルアップしたかのように陰気で怖い〜【怯】!!」(わたわたと腰を抜かしながら逃げようとする水角) 霜葉「我が友、龍を愚弄した罪…その命で償うがいい……!」(妖刀を振り上げる霜葉。かなり目がイッちゃってます) 水角「うぎゃあっ。そ、そんなっ、わらわはこの村の皆に魂の安寧をと思って…!」 霜葉「剣掌奥義・鬼氣群雲!!!」 水角「アキャ―――――ッ!!! ひどいぞよ――――(涙)!!」(きらん!と光って水角は遠い夜雲の彼方へと飛ばされました) 霜葉「……魂の安寧など…俺には分からぬ……」 無魂症の壬生霜葉の目についてしまったのが運の尽きであろうか…。(ってか、他の男キャラに見られても同じ運命と思うが…) 風角の次に命の火を散らした女鬼道衆・水角…哀れなり。←死んでないけど さあさあ、他の仲間たちは一体!? 以下次号…… |