《4》
九角家の若き当主、天童が1人自室で書物に目を落としていると…。
ピロパラピロリン♪ピロリロリ〜♪
何とも間抜けな携帯の着信音が通りの廊下の方から聞こえてきた。


岩角「雷角〜。鳴ってるど〜鳴ってるど〜」(携帯を持っているらしい岩角がどたどたと廊下を走っている)
雷角「ば、馬鹿者ッ! 切れる前にお前が取らんかッ(焦)!」


ピロリロリン♪ピロリロリン♪


岩角「駄目だど〜。おで、これの取り方分からないど〜。雷角早ぐ〜」
雷角「わ、分かっておる! 今洗い物の最中だったから手が濡れておるのじゃ…!」←使用人頭じゃなかったんかい
天童「………あの馬鹿共。一体何してやがんだ…」(しかし面倒くさいのか、廊下に出ようとはしない天童様なのであった)


さてさて、雷角に電話を鳴らした人物とは。


風角「……ううう…こ、こちら風角…。雷角か…?」(よろよろ)
雷角『遅いではないかッ【怒】! 一体調査にどれくらいの時間をかけておるのだ!』
風角「怒鳴んじゃねえよ…。ただでさえ身体中が痛いんだからよ〜」
水角「よよよ…(涙)。わらわの美貌が台無しじゃ…あのカメめが…」(ぼろぼろ)
炎角「さすがの俺も〜ノックアウッ」(踊ろうとして足がもつれ、こけっと転ぶ炎角)
雷角『何だ!? 一体何の話だ!? それにお前ら、今一体何処におるのだ。あの女には会えたのか!?』
風角「会えたよ。会えたけど、あの女は何もできないとよ」
雷角『な、何っ!? そんな馬鹿な…わしの計算では…!』
風角「だから俺らがこんだけ苦労してんだろ〜? あー…マジ、もう力尽きそう〜」
雷角『こら、だからお前らは今、一体何処におるのかと訊いておるのだ! 水滴の垂れる音が聞こえるが…!?』
風角「今地下水路にいんだよ。ここにあっちの世界へ行く為の手がかりがあるって言われてよ…」
水角「そしてそこにひーちゃん様が現れて…」
雷角『ななな何っ!? ひーちゃん様がっ!? それは誠かっ!?』
炎角「でも邪魔なカメに俺たち一撃でやられたんだぜ〜イエ」
風角「ばか、言うんじゃねえよっ(焦)!」
水角「はああ…。ひーちゃん様はカメと地上に戻っちゃったし。わらわたちはカメのせいでボロボロだし。どうする? これから」
風角「―と、いうわけなんだけどよー。俺らこれからどうしたらいいかと思って」
雷角『状況がさっぱり分からんわー【怒】!!』


取り乱す雷角に、傍で菓子をほうばる岩角。そしてボロボロの風角、水角、炎角。
まとまりのない話が続き、彼らは互いの状況を把握するのに小1時間ほどかけてしまった。


雷角『ふーむ…。しかし、それならばお前らはもう少しそこの水路を調査した方が良いな』
風角「ええ〜やっぱり? けど、もういい加減身体が冷えて…」
水角「わらわももう体力の限界が…最近同人作家に転向して運動不足だったし…。それに地下は寒いわ…ぶるり」
炎角「水角、俺が火を焚いてやるぜっ! ウオウッ、ファイアー!!」(ごうっ!と火を出す炎角)
水角「ふええ〜あったかい♪」
風角「ぬくいぬくい♪」
雷角『遊ぶなー【怒】!!』
風角「遊んでねーよー。ホントにここ寒いんだよ。けどよ、俺らはここをもうちょっと調査するとして…。もし本当にカメかひーちゃん様があの女が言っていた<動く対象>だったらどうすんだ?」
水角「ひーちゃん様たちはもうここにはいないんだえ」
雷角『そっちの調査は我々に任せろ。とにかくお前達はそこに何か手掛かりがないか探ってくるのだ! いいな!』(ガチャリ!)
風角「………汚ねーなー雷角の奴〜」
水角「ひーちゃん様の調査は自分がやる気だわね、きっと」
炎角「そんでカメの調査は岩角にやらせるんだぜ〜いえっ」
風角「ずりーなずりーな。大体、何で俺らこんな事してるんだっけ? 何か目的が分からなくなってきたぜ」←まったくだ…
水角「蓬莱寺京梧なんて奴、元々わらわ達には関係ないしねえ…」
炎角「イエッ! でも俺、ひーちゃん様のご先祖様と御屋形様のご先祖様は見たいぜっ!」
風角「……はーあ。それなんだよな〜結局は」
水角「仕方がない。もうちょっと奥の方も見てみようかね…」
風角「ああ、そうだな…。やれやれ」
炎角「むむっ!?」
風角「………ん?」
水角「炎角? どうしたえ?」
炎角「おうッ!? 何かが俺のサーチに引っかかったぜっ!」(言ってびしりと暗闇の向こうを指差す炎角)
風角「ん…?」


しくしくしく……。くすんくすんくすん……。


風角「な、何だ…? 何か誰かが泣いているみたいだぜ…?」
水角「こっちに近づいて来ているようだえ…」
炎角「むむ〜? 何か、フラフラしているみたいだぜ〜イエッ」


くすんくすんくすん……。しくしく……えぐえぐ……(涙)。


風角「く、来る! ホントにこっちに向かって来ているぜ…っ」
水角「な、何だえ…この辺り全てを包み込んでしまうかのような悲壮感は…(汗)」
炎角「テンションが〜下がるぜ〜」
???「くすんくすん……」
水角「キャ、キャー! な、ななななな…!?」
風角「うおっ!? あ、あいつは…っ!」
???「ぐすぐす……。……?」(風角たちに気づいた模様)
炎角「オウッ! あの動く物体はっイエ!」
風角「ま、まさか……動く対象物って……(焦)」
水角「……でもわらわ、こいつに…いえ、こいつの飼い主に関わりたくないよ…【畏】」
???「ウゴー……」
炎角「おう、ウゴー! ユーアースペシャルペット! ハウドゥユドゥ!?」
ウゴー「………ぐすん(涙)」


盲目の者。名前をウゴー。絶対無敵のマドンナ、美里葵様のペットである。


以下次号……






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