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【盲目の者ことウゴー。美しき聖女・美里葵様の忠実なる下僕。以前は邪悪な異形として人々に恐れられていたが、今ではすっかり癒し系ペットとしての地位を確立。詳しくは企画室での如月翡翠SPを参照。※「銀の竜」マニュアル36ページより抜粋―】
風角「なるほど、コイツがあの盲目の者・ウゴーか!」(マニュアルを見ながら) ウゴー「ウゴー……」(ふよふよと浮きながら3人を見つめるウゴー) 水角「ひーちゃん様とも結構仲が良いらしいじゃないの。化け物のくせに生意気な!」(ぐにーんとほっぺをつねる水角) ウゴー「ひー!!」 炎角「フンフンフン♪ キョーミ深い生き物だぜッ!」 風角「おい、お前! 何でこんな所をウロウロ漂っていたんだ? 俺たちの質問に答えないとひどいぞ!」 ウゴー「びくびくっ……おどおどっ……」 風角「コラー。口がきけんのか〜お前は」(ぐいぐいと口元を引っ張る風角) ウゴー「ピギャー(涙)」 炎角「風角〜。カワイソウな事しちゃ駄目だぜ、だぜだぜ〜。へい、ウゴー! マイネームイズ、ファイアーホーンッ! センキュウ!」 ウゴー「びくうッ!?」 水角「……ちょいと炎角。あんたの怪しげなダンスと挨拶で、このコ完全に硬直しちゃっているわよ」 ウゴー「………(泣)。ひぐひぐ……くすんくすん……。ウゴー…(滝涙)」(だー) 風角「……駄目だ、こりゃ(汗)」 炎角「何で泣いてるんだ、イエ!」(慰めのダンス) 水角「……わらわ達が泣かしたんじゃあないわよねえ? このコ最初っから泣いてやって来たんだし」 風角「うーん。迷子にでもなったんかなー」 炎角「暗いのが怖いのかもしれないぜ! ヘイペッツ! ファイアーッ、ボーッル!!」(ごうっ!と炎を出して暗闇の地下水路に灯りを灯す炎角) ウゴー「どきぃっ!!」(ずざざざざと後ずさりするウゴー)←完全に及び腰 水角「……怯えているみたいよ」 風角「大体にして異形が暗闇を怖がるわけないだろーよ。それより、コイツの泣いている理由はもっと他にあるんじゃねえの」 ウゴー「くすん……」 風角「おい、どうしたんだ? 泣いてちゃ分からないぜ。良かったら俺らに相談してみろよ」 ウゴー「……ウゴ?」 風角「まあ、しょーがねえから。ここで会ったのも何かの縁だしな!」 水角「そうだねえ。よく考えてみりゃ、わらわ達だって好きでこんな所にいるわけじゃなし。このコの気持ちも分かるかもしれないね」 ウゴー「…………」 炎角「へい、ウゴー! 俺たちは仲間仲間仲間だぜッ! 何があったのか話してプリーズ!」(勇気づけのダンス) ウゴー「ウゴー……」(そろそろと3人に近づくウゴー) 風角「………あ。でも、注意事項」 ウゴー「ウゴ…?」 風角「これだけは最初に断っておかなくっちゃな。な、水角?」 水角「あ、そうそう。それだけはねー」 ウゴー「ウゴゴ……?」 水角「あんたの悩みがあんたのご主人に関する事なのだったら、わらわ達はノータッチだから」(きっぱり) ウゴー「!!」 風角「ま、当然というか」 炎角「おう、そうだな! アイムソーリー。ベリベリソーリー。俺たち鬼道衆、菩薩眼だけはノーセンキュウッ!!」(拒絶のダンス) ウゴー「ピ……」 風角「ん…?」 水角「ピ?」 炎角「どうしたどうした? ピーピーダンス?」 ウゴー「ピエェ――――――ンッ(大号泣)!!」 風角「ぐはあっ【打撃】! み、耳が…(焦)!」 水角「ひえええ〜! ここここら! 泣くのはおよし! 泣くのはおよしってば(慌)!」 ウゴー「ビエーンビエーン(涙)!!」 炎角「オーマイガッ! やっぱり菩薩眼が関わっていたのか〜いえいえ」 ウゴー「ビエーンビエーン(大泣)!!」 盲目の者こと癒し系ペットウゴーが泣きやみ、落ち着くまでには相当の時間がかかった。 3人は既にへろへろだったがウゴーを放って帰るわけにもいかず、とりあえず必死に慰め話を聞く事にしたのだが…。 ウゴー「ウゴウゴ! ウゴーンウゴーンッ! ウゴン! ガウンゴウウン!」(必死) 風角・水角「…………」 炎角「ダンスダンスダンス……♪」(この状況にもう飽きたのか、1人でステップの練習をする炎角) ウゴー「ゴウゴウ! ガオーン(涙)! ウゴーウゴーガーンッ!!」(更に必死) 風角「……なあ、水角」 水角「何」 風角「コイツの言っている事、分かるか?」 ウゴー「ウゴーウゴー(泣)! ウゴンウゴンゴンゴンッ!!」 水角「………全然」 風角「……俺たち、異形じゃないからなあ(汗)」 水角「必死なのは分かるんだけどねえ…」 風角「まあ、多分あれだな。またあの菩薩眼の娘に理不尽な事で責められ怒られて、怖くなって逃げ出したってとこだろうな」 水角「多分ねえ…」 ウゴー「ウゴーンウゴーン(涙)」(だー) 風角「……それで、どうする? 結局ここに手掛かりらしい手掛かりはなかったし。一度戻るか」 水角「そうだねえ…身体もすっかり冷えてしまったしね(疲)」 炎角「おで、腹減ったど〜」(器用な事に岩角の物真似をする炎角) 風角「じゃ、そゆことで…。ん、そんでコイツどうする?」 水角「どうするって…」 ウゴー「ウゴウゴ…ハッ!!」(帰ってしまいそうな3人に気づいたウゴー) 風角「………おい、お前。俺たちもう帰るんだけどよ。お前も素直に主人に謝って許してもらえよ」 ウゴー「ウゴ!?」 水角「そうそう。何だかんだってご主人ってものはね。普段は家来に辛くあたっていたって、本当はその家来たちの事を大切に大切に想ってくれているものなのよ。わらわ達の御屋形様のようにね♪」 ウゴー「ウゴッ(焦)! ウ、ウゴー〜」 風角「うん、『そうかなあ』って感じか? うん、そりゃまあ、お前の主人は恐ろしく非道で自己中で乱暴者かもしれないけどな。けどまあ、いつまでもここにいるわけにもいかないだろ?」 ウゴー「ウゴー……」 水角「……それともわらわ達と来るかえ?」 ウゴー「!」 風角「え? おいおい、水角」 水角「だって考えてもごらんよ。このコは一応ここにいた<動く対象物>だし。何かの手掛かりを持っているかもしれないだろう。このままみすみす別れるのもどうかと思うよ」 風角「でもなあ」 炎角「コイツもあの女の所には帰れないっぽいぜ、イエ!」 風角「だからこそ怖ェんじゃねえかよ…(汗)。こいつの主人がこいつを探しに来たら…」 水角「あ! それじゃあ、わらわ達もひーちゃん様の所へ行くっていうのは!? ひーちゃん様は唯一あの横暴女を止められるお方だし! それにこのコとも仲良しだし!」 風角「おう【喜】!? それはいいな!」 炎角「またひーちゃん様に会えるのかっ! イエ! ナイスアイディア!」(うっきうきのダンス) ウゴー「ウゴ!? ウゴウゴ!?」(急激な話の展開についていけない模様) 水角「決まり決まり♪ ほほほ〜。これでまたひーちゃん様に会う口実ができたわね」 風角「じゃ、ついでに一回屋敷に帰って御屋形様も誘うか? 一緒に行くかもしれないぜ!」 水角「きゃーそれいいぞよ! 御屋形様も最近ひーちゃん様に会ってないから。ひーちゃん様の友達の異形が迷子になってたって言って連れ帰れば、御屋形様もよくやったって誉めてくれるかもしれないしね」 炎角「久しぶりの久しぶりの九主〜が見られるかも!? イエ!」 風角「よっしゃー! そうと決まれば即行帰ろうぜー!」 水角「うきゃー! 帰ろう帰ろう!」 炎角「おうちに帰ろう♪ シチューを食べようイエ!」 ウゴー「ウゴー????」 風角「行くぞ、ウゴー!」(がっしとウゴーを掴み、走り出す風角。そのスピードはまさに風のようだ!) ウゴー「ピギャ!? ウゴゴゴゴゴ……(慌)!」(引っ張られるままに流されるウゴー) 水角「さっさと帰るわよーほほほー!!」(どどどどど……) 炎角「イッエーイ!!」(ダンスダンスダンス……) ……一体何の為に地下水路に潜り、何の為に調査をしていたのか、その目的を完全に失した3人。 最早彼らの望みは「何か口実を見つけてひーちゃん様に会いに行く」になり、そして「御屋形様とひーちゃん様のカラミが見たい」に変わってしまっていた。 ウゴーの気持ちも全く分からないまま、鬼道衆たちは浮かれ放題なのであった。 以下次号…… |