《6》
調査班である風角、水角、そして炎角がウゴーの意味不明な愚痴を聞いていた時刻。
一方、お屋敷で留守番の雷角、岩角は―。


雷角「ふう〜やれやれ。洗い物、これでよーし」
岩角「洗濯物もたたんだどよーじ♪」
雷角「家計簿つけたよーし」
岩角「御屋形様のお蒲団も敷いたどよーじ♪」
雷角「よし。我々の任務滞りなく無事終了。よくやった、岩角!」
岩角「わーいわーいわーい!」(嬉しそうにどたどたと部屋の周りをぐるぐる回る岩角)
雷角「む…しかしもうこんな時間か。まったく、あいつらいつまで―」
天童「おい」
雷角「はっ(驚)、お、御屋形様ッ! ははーっ、ななな何でございましょう!?」
岩角「御屋形様〜。おで、今日はおでが御屋形様のお蒲団敷いたんだど〜」
天童「………他の奴らはどうした?」
雷角「は…っ。そ、それがまだちょっと…そのう……色々と取り込んでおるようでございまして…(汗)!」
天童「…………」
岩角「御屋形様、おでがお蒲団……」
天童「水角は街へ買い物へ行ったんだろうが。随分長ェ買い物じゃねえかよ」
雷角「は、は…っ(汗だらだら)! お、女の買い物は斯くも長く面倒な物でございますなっ」
岩角「御屋形様、おでがお蒲団敷いたのが嫌だったのか〜(悲)?」
天童「…………」(ちらと岩角を見て、再び探るように雷角を見る天童様)
雷角「………(焦)」
岩角「あったかいお蒲団だどー。ふかふかだどー」
天童「……まあいい。寝る」(くるりと踵を返して出て行こうとする天童様)
雷角「は…ははーっ。おやすみなさいませ!!」(膝を折って頭を垂れつつほっと安堵の雷角)
岩角「そうだ〜御屋形様〜。おで、枕の下にひーちゃん様の写真をいれておいたど〜♪」←おいおい気が利くな
天童「……(汗)。雷角」(岩角を無視しつつ、振り返って不機嫌そうな顔を雷角に向ける天童様)
雷角「は…っ!?」
天童「この俺に何度も言わせるなよ? もしお前らがくだらない事してやがったら…タダじゃおかねえからな」
雷角「めめめ滅相もな…っ(畏)!!」
岩角「くだらない事って何だー?」
天童「ったく…」
雷角「………(滝汗)」


天童様が去って、部屋の中は一気にしーんと静まり返った。


岩角「……御屋形様、行っちゃったどー」
雷「ふ、ふー(汗)。まったく、あやつらがさっさと帰ってこんから、わしらが御屋形様に妙な疑いをかけられるっ」←疑いはかけられて当然
岩角「水角たち、遅いなー」
雷角「うむ…。しかしわしらの方もいつまでもこうしておれん。岩角、仕事だぞ」
岩角「ん〜? おで、何すればいい? まだ寝ちゃ駄目なのか?」←実はおねむらしい
雷角「馬鹿者、御屋形様がお休みになられた今こそが動く絶好のチャンスではないかっ。いいか、お前はこれからカメの家を探索してくるのだ!」
岩角「へ? カメ? カメの家をタンザク?」
雷角「そうだ。風角の連絡によると、あやつは外法世界へ行くための手掛かりを持っているやもしれぬ要注意人物。そんなあやつの店には元々怪しげな物がたくさんあるしな。そこへ行って、何か手掛かりになるような物を探してくるのだ」
岩角「何だか難じいな。お、おで、大丈夫かな〜」
雷角「何を情けない事を言っておるか。お前も天下の鬼道衆の一員なら、命じられた仕事くらい1人で片付けろ」
岩角「ん〜分かった。でも雷角は留守番か〜?」
雷角「わしか……わしは………(ごほん)」
岩角「??」
雷角「ごほ…わしにはもう1人の要注意人物を洗うという仕事がある故な…。何、そちらの方はこのわしに任せろ!」
岩角「ふーん。分かったど〜」
雷角「〜♪ ふんふん♪ 何着ていこうかの〜♪」
岩角「カメの家に泥棒泥棒〜♪」


さてさて、こうして留守番組だった雷角、岩角も。
地下水路にいた<動く対象>者であった如月翡翠と緋勇龍麻の調査に乗り出す事になった!
岩角は如月の家へ、そして雷角は龍麻の家へ向かう!
……向かう、はずであったのだが。


岩角「んー。懐中電灯よーじ♪ 風呂敷よーじ♪ お菓子よーじ♪」(お出掛け前に荷物のチェックをしている岩角)
天童「岩角」(突然スラリと障子が開き、岩角の部屋に天童様がやってきた!)
岩角「ふわっ。び、びっくりしたど〜。御屋形様か〜」
天童「……お前1人か」(部屋を見渡し、雷角がいない事を確認する天童様)
岩角「はい〜。雷角はシャンプーしに行ったど」
天童「シャンプー?」
岩角「お出掛け前におしゃれになるって言ってたど。だからおでもお出掛け前にいっぱいお菓子の用意してる」
天童「ほう」(どかっと岩角の前に胡座をかき、大きな荷物を見やる天童様)
岩角「これは〜バナナ♪ こっちはカールのチーズ味スティックタイプだど。遠足には欠かせないど♪」
天童「ふ…そうだな。だが、お前にはこれも欠かせねえだろ?」
岩角「ん??」
天童「ほらよ、【きのこの山】だ」(いきなり魔法のようにぱっと「きのこの山」を取り出す天童様!)
岩角「わー! きのこ〜【愛】!!! やったど、やったど【喜】! 御屋形様、こで、おでにくれるのがー!?」
天童「ああ、やるぜ。お前はいつもよくやってくれているからな」(にやり)
岩角「やったどやったど!! すごく嬉しいどー今すぐ食べてしまいたいど♪」(じゅるり)
天童「まあ待て待て。そんなに焦らなくてもこれはお前だけの【きのこの山】だ。誰も取ったりはしねえよ。それより、出掛けた先で食う方がこれのウマさも増すってもんだ。そうだろ?」
岩角「う、うん〜。そうだな…。おで、我慢する」
天童「仕事を片付けた後にこれで一服するといいぜ」
岩角「あ、そうだ! おでには大事な鬼道衆としての仕事があるがら、ちゃんとそれをやってからこれ食うど! それが一人前のやる事だど!」
天童「……ああ、そうだな。お前は分かってる。偉ェじゃねえかよ」
岩角「でへへへ…御屋形様に誉められたど〜」
天童「お前は俺に嘘をつかない。俺はお前のそういうところを買っている」
岩角「おお〜♪ おで、御屋形様に嘘つかない♪ 御屋形様の言う事なら何でも聞くど♪」
天童「そうか…そうだろうともよ…」
岩角「おで、御屋形様の御為に働ぐ〜」
天童「よく言った。それじゃあ岩角、答えろ。お前、これから何処へ行く?」


シャンプーリンス〜♪ ちょっとお洒落な香水もつけちゃったりして♪
これで完璧、ひーちゃん様ズハウス! 潜入調査! いつもは煩いあいつらもいないし、ぐ…ぐふふふふ…!
はーひーちゃん様〜目の保養〜心のエンジェル〜。我らが天使〜♪
……以上、雷角「心の叫び」でした。


雷角「ふう、さっぱりしたわい。さて、と…。お、岩角はもう出たかの? 何だか部屋が暗…」
天童「よう、雷角」(いきなり消していた部屋の電気をぱっとつける天童様。その片手には…)
雷角「!!!!! お、御屋形様…ッ!?」
岩角「きゅうぅ〜・・・・・・」(何をされたのか、天童様に片手でつままれた格好のまま目を回して気絶している)
雷角「が、岩角…ッ!」
天童「俺は優しい主人だからな。本当の事を喋ったコイツには、この程度の仕置きで勘弁してやったぜ」
雷角「おおお御屋形様……!」(どっと冷や汗をかく雷角)
天童「……ったく、デカイ図体して、鍛えてねえから弱ェの何のって」(そう言いながら天童様は岩角をぽいと放り投げる。と、ズズン!と大きな音が部屋中に響き渡り、ぐったりとした岩角が雷角の前に転がった)
雷角「あ…あわわわわ…(汗)」
天童「飛水の家に泥棒だと…? 雷角…テメエはこの俺に恥をかかせる気だったか」
雷角「ととととんでもございませぬっ。こ、これも一重に御屋形様とひーちゃん様の御為に…!」
天童「ほーう。で? シャンプーしたお前はこれから何処へ行く気だったんだ? 飛水の家に岩角は1人で行くと言っていたぞ?」
雷角「え、え、え、えーとですな…そ、それは……(焦)」


雷角が何か良いアイディアはないだろうかとなけなしの頭脳を総動員させていた時である。
突然、屋敷の入口から猛烈なダッシュ音と浮かれた声が響いてきた。


炎角「イッエーイ! 俺がイチバン、イチバンイチバン!」
風角「あーくっそー! 俺だって早かったのによー! ウゴー、テメエが暴れるからだぞ!」
ウゴー「ウゴー(焦)!!」(じたばたじたばた)←風角に拘束されて暴れています
水角「ハアハア…。あー疲れた。でも…ふふふ、我ながら萌え時にはまだまだこんなスピードを維持できるんだから、わらわも捨てたもんじゃーないわね♪」
雷角「……おぬしら」
風角「あ、雷角! 良かった、お前まだいたのか!」
水角「あ、ほーんと。てっきりもう1人だけでひーちゃん様の所に行っちゃったのかと思ったわよ! あんた、わらわ達にだけあんな調査やらせて、自分ばっかりおいしいとこどりしようとして〜」
風角「まったくだぜ! けどよ、待っててくれたってわけだな? なら許そう! 何せな、俺たちはひーちゃん様にお近づきになれる必殺アイテムを手に入れたんだぜ!」(言って高々とウゴーを持ち上げる風角)
炎角「ジャジャーン!! スーパーッ! ウッゴーッ!!」
ウゴー「ウゴ……(涙)」
雷角「そいつは……」
風角「こいつもよー地下水路でウロウロしてたんだよ。で、ほら、こいつってひーちゃん様と仲良いじゃん! だから、こいつ連れてくって名目でひーちゃん様に会いに行けるってわけだ♪」
炎角「ウ〜ッ、ンラッキー!! ウルトララッキー!!」
水角「わらわ達、最近ひーちゃん様とまともにお話とかしてなかったしぃ。うっふふ〜ナイスなアイディアでしょ〜?」
風角「そんでよ、ついでに御屋形様もお連れしようと思ってよッ。へへへ、久しぶりの九主ゥ〜!」
水角「うふうふ♪ 御屋形様もひーちゃん様とはご無沙汰だと思うし。わらわ達の計らいでひーちゃん様とお会いできるって知ったら、きっとお喜びになられるわー♪」
炎角「イエイイエイイエイイエイ! オ・レ・た・ち、恋の、キューピドッ! キューッピッドー!!」
雷角「………お、おい。それでおぬしらあちらへの行き方は…?」
風角「へ? ……何? 何だっけ?」
水角「あら……そういえば、何か使命があったような気が……」
炎角「ひーちゃん様に何か口実作って会いに行くってのが使命じゃなかったか? イエ!」
水角「あ、そうそう。そして御屋形様も連れて行く♪」
風角「そうそう、ついでにお連れする〜。へっへっへ〜。わくわくするぜ〜。な、ウゴー?」
ウゴー「ウゴ……【怒】」
雷角「………(汗)」
水角「?? ところで雷角。あんた、さっきから何でずっと黙っているのだえ?」
風角「ん? そういやそうだな。どうかしたか? あれ、それに岩角は何処だ?」
炎角「スリーピン? スリーピン? グッドスリーピン?」(zzz…と寝たフリダンスする炎角)←寝たフリダンスって一体…
雷角「その…実は、あのだな…今回の我らの計画がだな……」
風角「へ? ひーちゃん様に会いに行こう計画がどうした?」
水角「で、ついでに御屋形様もお連れする計画がどうしたの?」
雷角「………(汗)」
風角「おい、だからさっきからどうし―!?」


天童「よう、お前ら」


一同「!!!!!」
ウゴー「……? ウゴ……」
天童「なかなか面白い話をしているじゃねえかよ。真夜中にご苦労なこったな」
風角「お、御屋形様…?」
水角「ま、まあ〜嫌ですわ、御屋形様(焦)! いらっしゃったのならもっと早くにお声をかけて下さいませ〜(汗)」(ひきつり笑い)
天童「おう、悪いな。あんまりお前らの話が楽しいもんでよ。うっかり声を掛けるのを忘れていたぜ」
一同「………はははは」
天童「ははははは!」
一同「わ…わはははは…っ」
天童「…………」
一同「びくうっ(慌)!!」
ウゴー「………ウゴ…(汗)」
天童「……ついで、か」
水角「御屋形様、あ、あの…!」


天童「こんの…バカ共がぁッ【怒】!!!」(必殺、「殴りつける」の技)※一部台詞が変わっております
鬼道衆「ウギャ―――――――!!!!」
ウゴー「………ッ【驚愕】!!」←声にならない


……彼らに明日はあるのか……。


以下次号……






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