第28話 続・パーティ再編成!? |
秋月王国城下町。浜離宮、酒場―ルイダン―。 「 きゃっうーん!! ダーリーン!!」 「 うわっぷ!?」 「 やんやん、ダーリン、舞子を置いて何処行っちゃってたの〜!? 舞子、とーっても心配したよー!!」 「 あの…分かったから、ちょっと離れて…ッ」 「 龍麻サン、水臭いゼ? コイツらと離れたかったのなら俺サマにこっそり言ってくれりゃあ、夜の間にあんたを町から連れ出してやったのによ」 「 龍麻さん…っ。私、龍麻さんに再会した喜びを歌と踊りにこめます…!」 「 龍麻。アンタ、パーティ編成をこのアタシに黙って勝手に行うなんてどういう了見なの? 今度そんな勝手な事したら…ウフフ、楽しいお仕置きをしてあげちゃうわよ?」 「 ひーちゃん、ひーちゃん。そんでさ、今度はボクを連れて行ってくれるんだよね!?」 「 た、龍麻。俺は今度こそお前と一緒に行くぞ?」 「 あの…その……(汗)」 「 だーっ!! お前ら、いい加減黙れー【怒】!!」 酒場に入った途端、町で知り合った面々が一斉に龍麻に話しかけてきたものだから、その場にいた他の客はその一種異様な空気に完全に圧倒されていた。 勿論、当の龍麻も…。 そんな龍麻を庇うようにして皆の前に立ちはだかったのは京一だった。 「 お前ら、ひーちゃんから離れろっ!! 鬱陶しいんだよ!!」 「 何だよ、京一。お前こそずっと龍麻サンと一緒だったんだから、いい加減俺サマたちにその権利を譲れよな?」 「 そうだよっ! 京一、お前ズル過ぎるぞッ!!」 雨紋と桜井が共同戦線を張ってそう言えば、他の仲間たちも一斉に頷いた。 龍麻のパーティの一員である美里とマリィも。 「 うふふ…。そうよ、京一君。貴方もたまには二軍に行かなきゃ不公平よv」 「 ソウダヨ! 京一のオ兄チャン!! 葵ママが正シイ!!」 「 お、お前ら〜!」 「 で? 龍麻。まあ、最終的にはアンタが決断を下す事だから。誰を外して誰を連れて行く?」 酒場の女主人、藤咲が皆を代表してそう言った。 「 ………俺」 「 ひーちゃん! さっきも言ったけど、ボクと醍醐クンはあの東の洞窟攻略のヒントを得てるんだからね!」 桜井が必死のアピール。醍醐も横でうんうんと頷いている。 仲間たちは(抜け駆けしやがって)という思いを密かに抱いていたが、とりあえずは龍麻の決断を聞く為沈黙を守った。 龍麻のパーティに入れるメンバーは4人である。 「 ………俺」 しかし龍麻はそう言ったきり、すっかり困ったようになって黙りこくった。 現在龍麻の仲間は11人。 京一。桜井。美里。醍醐。マリィ。雨紋。高見沢。比良坂。そして藤咲。 さらに、現在ここにはいないが村雨と芙蓉も呼べばすぐに仲間になってくれる。 その中から選べるのはたったの4人なのである。 「 俺、こういうの嫌だ……」 「 龍麻、この人たちに気を遣う必要なんてないのよ? うふふ…何なら私とマリィだけを選んであとは切り捨てたら?」 「 葵〜サラリと裏切り発言しないでよねッ」 「 ………この人からはとても邪悪なものを感じます」 桜井と、そして背後で祈る格好をしている比良坂がそうつぶやいて眉をひそめた。 しかし美里、さらりと無視。 「 さ、龍麻。どうするの? いつまでも悩んでても仕方ないでしょ。アタシたちはアンタの決定に従うわよ」 「 そうだぜ、龍麻サン。遠慮しないで俺サマを選んでくれや!」 「 きゃうーん、舞子を選んでー!!」 「 龍麻さん。私、貴方を信じてます」 「 だからお前らは煩いってんだよ!!」 再びぎゃあぎゃあと騒ぎ出す店内。 しかし、その時だった。 「 う〜ふふ〜。困った時の〜占い師登場〜」 裏密ミサが現れた!! 「 う、裏密さん……」 「 ひーちゃん〜。お困り〜?」 「 う、うん…。俺……」 龍麻が俯いたきり黙りこくると、裏密はキシシと低く笑った後、さっと龍麻のカバンを指し示した。 龍麻が意味が分からずに首をかしげると、裏密は再びにやりと笑って言った。 「 ひーちゃん〜。カードを見てごらん〜?」 「 カード? 裏密さんがくれたやつ?」 「 そうだよ〜。困った時はそれをご覧あれ〜。その時々でオススメパーティを示唆してくれているよ〜」 「 え……!」 裏密のその言葉に驚いて龍麻が【不思議なカード】を取り出すと!! そのカードの背景は明らかに当初のものと変わっていた!! 変化のないものもあったが……。 「 バックが青になっているものは〜現在仲間にすると吉な人〜。逆に赤は危険〜。あとの白いカードは可もなく不可もなくってところ〜」 「 べ、便利だね…」 「 おい、ひーちゃん。そんな怪しいアイテムの教示なんかを信じるのか?」 「 あ、京一の剣士のカードは青色だ」 「 よし! 俺を連れてけ!!」 「 こら、京一〜!!」(さくりと弓を放つ小蒔) 「 いって!! てめ、この男女〜!!」 「 ちょっとアンタら。アタシの店で暴れないでよ。で? 後の私らのカードはどうなってるの、龍麻?」 「 あ、う、うん…」 龍麻は全てのカードを見てみた!!( )はカードに描かれている絵柄である!! 京一のカード(炎の剣)……青 小蒔のカード(リンゴと弓)……青 美里のカード(地獄のボサツガン)……血の色地獄(真っ赤) 醍醐のカード(白い虎)……青 マリィのカード(火の鳥)……赤 雨紋のカード(雷)……青 舞子のカード(救急箱と注射)……白 比良坂のカード(歌姫と七色の鳥)……赤 藤咲のカード(酒と鞭)……白 村雨のカード(金色に輝くコイン)……白 芙蓉のカード(人型をした紙)……白 ( その他御門や壬生、如月、そして龍麻のカードもあるが、現在は灰色または黒、龍麻のカードは白色である) 「 うわ〜前までは気づかなかった。メンバーに困った時ってこんな風にしてこのカードが教えてくれるんだ…」 「 よっしゃあ! 俺サマのカード、青だゼー!!」 「 やったああああ!! ボクも青だ、青だよ、醍醐クン!! 醍醐クンも青だよ!!」 「 う、うむ…! やはり今度のイベントクリアのヒントを得ている俺たちは有利だったようだ…!」 「 ……………」←その他の人々の重い沈黙 「 うふ〜。それでひーちゃん〜。その青いカードの人たちと行く〜?」 「 ……あれ? ちょっと待って。何だか見覚えのないカードがまた増えてる…!」 龍麻はカードを1枚1枚めくりながら、ふとある絵に目を留めた。 それはバックが毒々しい赤色をしていたが、今までに見たことのない、黒い水晶球と蝙蝠が描かれた不気味な絵だった。 「 これ…何だ…?」 「 うふ〜。それ〜ミサちゃんのカード〜」 「 えっ!?」 その言葉に龍麻がぎょっとすると、裏密はにひひと笑ってから黒い長衣で顔を隠した。 「 うふ〜。ミサちゃん〜。ひーちゃんの支援者だけなのが物足りないから〜。気が向いたら戦闘にも行こうかと思って〜。追加しておいたよ〜」 「 追加って……」 「 しかしお前、今赤だな」 「 うふ〜ミサちゃん連れて行っても〜。今は不吉なだけみたい〜」 「 ………あの、じゃあ俺」 龍麻はすっと顔を上げ、自分の周りを囲んでいる仲間たちを見てからぺこりと頭を下げた。 そして。 「 皆、ごめん。俺、優柔不断だから…。自分で選べなくてごめん。俺、この青いカードの人と行く事にします!」 「 やったああ、ひーちゃん!!」 「 龍麻…! 俺は頑張るぞ…!」 「 龍麻サン、俺サマに任せな!!」 「 ………京一」 そうして龍麻が最後に京一を見ると、京一は笑って頷いた。 「 おう、ひーちゃん! 俺なしのパーティなんて考えられないよな! 頑張ろうな!!」 「 うん…ッ」 こうして龍麻はパーティを選んだ!! 「 それじゃあ、今いる面子、マリィと美里を外すわね?」 藤咲が帳簿を開きながら龍麻に言った。 「 うん。美里、マリィ。ごめんな」 「 龍麻パパ……(悲)」 「 龍麻。いいのよ、気にしないで。私、貴方が帰ってくるのを信じて待っているから…」 ( いやに聞き分けがいいじゃねえの…汗)←京一、心の声 しかし、マリィと美里を外そうとした、その時である!! デロデロデロデロドゥールッ!!(不吉な音楽) 「 うっ……!」 「 ひーちゃん!?」 龍麻は突然10のダメージを受けた!! 「 な、何だ……?」 龍麻はよろりとよろけ、一歩だけ前にぐらついた。 すると。 デロデロデロデロドゥールッ!!(不吉な音楽) 「 ふわあ…っ!?」 龍麻は更に10のダメージを受けた!! 「 な…何、なんだ……?」 「 ひーちゃん!? どうしたの、しっかりー?」 しかし、桜井が片膝をついた龍麻に近づいたその時―。 デロデロデロデロドゥールッ!!(不吉な音楽) 「 きゃああっ!!」 桜井は突然10のダメージを受けた!! 「 ぐあっ…!?」 醍醐も突然10のダメージを受けた!! 「 うぐあっ…!!」 雨紋も突然10のダメージを受けた!! 龍麻のパーティに組み入れようとした3人は同時にダメージを受け、その場に倒れ伏した!! 「 お、おい、お前ら…!? 一体どうしたんだっ!?」 京一だけは無事である。 その京一が龍麻を抱きかかえるようにして身体を支えると、不意に龍麻から黒い炎のようなものが一瞬浮き上がったように見えた。 「 な、何だ…?」 幻だろうか。 これは。 「 あれ〜。ひーちゃん〜。呪いにかかってるみたいよ〜?」 その時、しれっとして裏密が言った。 「 の、呪い!? またかよっ!?」 京一がぎょっとすると、裏密が「うん〜」と能天気に頷いた。 「 何か〜禍禍しいものを感じるわ〜。教会に行った方がいいよ〜?」 「 何の呪いなんだ!?」 「 それは〜ミサちゃんには分からない〜。賢者か位の高い魔法使いさんに訊かないと〜」 「 くそ…! ひーちゃん、しっかりしろ!!」 「 う…ん…。でも、何だか分からないけど…」 龍麻は京一の声を聞きながら、知らず知らずのうちにぽろりと涙をこぼしていた。 驚く京一に、龍麻は茫然としながら言った。 「 俺…駄目みたい…。美里とマリィと離れるんだって思ったら…ものすご〜く【離れ難い】ものを感じて…身体から力が抜けていく……」 「 まあ…龍麻……」 すると美里が近づいてにっこりと笑った。龍麻の手を握る。 すると龍麻の体力が元に戻った!! 「 な…!?」 茫然とする京一、はっとして目を見開く龍麻に美里は言った。 「 龍麻…そんなに私たちと一緒にいる事を望んでくれるなんて…嬉しいわ…」 「 ……うん。美里……」 「 お、おい…? ひーちゃん…?」 こうして。 龍麻は、一旦は決めたパーティ編成を再度編成し、元のメンバー…京一、美里、マリィと一緒にいる事にしたのだった!! 「 うふふふふ………」 龍麻は新たに裏密ミサを戦闘メンバーとして引き入れた!! 龍麻は《離れ難い糸》という呪いにかかっている!! この呪いにかかると、一旦手にしたアイテムはどんな物だろうが捨てる事ができなくなる!! 無理にでも捨てようとするとダメージを受ける!! これは現在の仲間を外す場合にも該当する!! 龍麻はこの呪いの存在に気づき……そうではある。 《現在の龍麻…Lv12/HP70/MP40/GOLD4822》 |
【つづく。】 |
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