第33話 またまた再編成!? |
ハーレムタウンから少し離れた場所にて。 「 こら、ひーちゃん待てって!」 「 わー放せ〜!!」 レベル的に素早さで劣る龍麻は京一にあっさり捕まった!! 「 やだやだー俺は絶対入らないぞ、あんな奴がいる町〜!!」(じたばた) 「 はあっ!? ったく、何言ってんだよ、訳分からない事言って暴れるなって!!」 「 ………ん?」(くるりと振り返り、自分の手首を掴む京一の存在に気づく龍麻) 「 ひーちゃん、まずは落ち着けって。一体どうしたんだよ。急に走っていっちまってよ」 「 ……何だ、京一か……」(フーとため息) 「 何だってのは何だよ(苦笑)」 +++ 「 な、何ィ!? 昔あそこの町の町長に求婚されただあ!?」 京一は精神的ショックを受けた!! 京一は5のダメージを受けた!! 「 そうだよ…。ああ、今思い出してもおぞましい…!」(ぶるぶる) 町の入口近くに立つ大木の傍に座りこみ、龍麻は膝を抱えたままハアとため息をついた。 京一は立ち上がったまま驚いた目でそんな龍麻を見下ろしている。 「 そ、その…求婚ってのは…そういう…事だよ、な…?」 「 そうだよ。何か旅行してて偶然俺のいる外れ村にやってきたんだけどさ…。俺の顔見るなり、突然一目惚れだの、アイシテルだの言い出して…」 「 …………」 「 しつこくつきまとった上に、いつの間に忍び込んだのか、夜俺のベッドにまでやってきて…こう…がばあっ!!と襲い掛かって…。ううう〜!!」(頭を抱える龍麻) 「 お、おい、ひーちゃん…! ま、まさかそれでその野郎にヤらせちまったんじゃねえだろうな…?」 「 ば…っ! バカか!? 誰がやらせるかよっ!! し、死んでもやらせてたまるかー【怒】!!」 「 け、けどよ…。ひーちゃんすげえ弱いしな…」 「 何疑わしそうな目で見てんだよっ!! その時は焚実が助けてくれたんだ。あいつ、町長が怪しいって言ってうちに泊まりに来てくれてたから…」 「 …………そいつも危ねえんじゃねえのか」(ぼそ) 「 何か言ったか?」 「 いやっ。……けどよ。ひーちゃん、1つ訊いていいか?」 「 何だよ」 「 …………」 「 何だよ、京一っ(赤面)!! そんな人の顔ジロジロ見てさっ。言いたい事があるならさっさと言えよな!」 「 ……ひーちゃんって実はやっぱし女の子だったのか……?」 「 な……!!」 躊躇いながらぽつりとそう言ってきた京一に龍麻はカアァッと頭に血を昇らせたまま、絶句した。 そして数秒後。 「 京一のバカやろー!!!」(ぽかすか!!) 龍麻の攻撃!! 「 ぅわっ!? や、やめろ、ひーちゃん!! 悪ィ、一応確認してみただけだって!!」 しかし力が弱いせいか京一はダメージを受けない!! 逆に龍麻が精神的ショックを受けている!! 龍麻は10のダメージを受けた!!(おいおい) 「 ……ゼエゼエハアハア……」 「 落ち着け、ひーちゃん。ほら、座れって」(言って京一もその場に座りこむ) 「 …………」(龍麻も大人しくその場に座った) 「 俺が悪かったよ。だってよ、求婚とか言うからよ…。ついちらっと思っちまったんだよ」 「 ………もういいよ」 「 よくねーよ…。ホント悪い」 「 ……京一」 「 けどよひーちゃん。まあ混乱して逃げてきちまった理由も気持ちもよく分かったが…どうすんだ、これから?」 「 う……」 「 青龍ってあのハーレムタウンにいるんだろ? それによ…俺、思うんだけど多分その町長が俺らが探している青龍だよな」 「 な、何でだよ!?」(ぎょっとする龍麻) 「 だってそいつ、自分の青龍の証である鍵を美里にあげちまったんだろ? 確証はねーけど、あの如月って奴がそう言ってたじゃねえか。美里はあんな性格だけど顔はまあ…美人っちゃあ、美人だしな」 「 あ…確かに町長は美人な女の人が好きだもんな」 「 ひーちゃんみたいな美少年もな」 「 京一〜」 恨めしそうな顔をして睨む龍麻に、京一はここでようやく楽しそうな顔をして笑った。 「 ははは、まあそう睨むなって。とにかくさ、俺はひーちゃんの決定に従うから。お前が決めろよ。青龍を仲間にするのかしないのか」 「 え……」 「 俺自身は別にどうでもいいし。4神とやらも、勇者の証ってやつも」 京一はそう言ってから何故か妙に真剣な顔になって黙りこんだ。 龍麻が不思議そうな顔をしていると、ぱっと元の明るい顔に戻ったが。 「 ま、とにかく醍醐たちの所に戻ろうぜ。心配してると思うしさ」 「 あ…うん」 そして龍麻たちがハーレムタウン入口に戻ると。 「 う、雨紋、醍醐!? い、一体どうしたんだっ!?」 「 敵か!? お前ら、一体誰にやられたっ!?」 何と雨紋が倒されていた!! 醍醐が倒されていた!! 2人はその場に突っ伏すようにうつ伏せの状態で死んでいた。←嘘 「 ううう…お、龍麻か…?」 むくりと生き返った醍醐は、龍麻の顔を見るとややほっとしたような顔になり、再びがくりと項垂れた。どうやら何者かによってひどい攻撃をされたようで、そのダメージは深刻である。 ちなみにそんな2人の傍には、あの町の衛兵も倒れて転がっている。 そして桜井小蒔の姿はなかった。 「 こ、小蒔ちゃんは…!? ど、何処行ったの…!?」 「 まさか誰かに攫われたのか…!?」 「 いや…そうじゃなく……」 もごもごと口篭もる醍醐に、雨紋が顔を上げ、よろよろと上体を起こすと口を開いた。 「 ちょっと悪ふざけが過ぎたっつーか。俺サマと醍醐のダンナの発言で彼女、めっちゃキレちゃって」 「 はあ…?」 「 1人で秋月に帰っちゃいました。俺らの仲間うちで1番の美人は誰か龍麻サンに判定してもらうって言って」 「 は、はあ…? それ、一体どういう事…?」 「 ひーちゃん!!」 その時である。 もの凄い勢いで遠方から移動アイテム(キメラの翼)でやってきた者の声が…!! 「 あ、小蒔ちゃ……!???」 「 ひーちゃん、戻ってきてたんだっ。丁度良かった!!」 「 …………」 「 あいった〜。何よ、もう…! キメラの翼じゃなくてルーラの使える奴ってこの中にいなかったのォ…? もう、腰痛〜!!」 「 亜里沙ちゃん、我がまま言わないの〜!! ダーリンに会えたし、舞子は嬉しい〜!!」 「 本当は私、ルーラ使えますけど、龍麻さんのお仲間になる前にMP消費したくなかったんで」 「 龍麻様、お久しぶりでございます」 「 みんな……」 「 おいおい、どうなってんだ、こりゃあ?」 茫然とする男性陣の前には、5人の女性の姿が。 桜井小蒔が現れた!! 藤咲亜里沙が現れた!! 高見沢舞子が現れた!! 比良坂紗夜が現れた!! 芙蓉が現れた!! 「 ど、どうしたの、一体…?」 「 きゃうーん、ダーリーン!!!」(抱きいっ!!) 「 わ、わわわ…!?」 舞子がいつものように龍麻に抱きつく。面食らう龍麻。 「 こら〜、アンタもまだ龍麻に選ばれてないんだから、そんな接近するなんて無しよ?」 「 そうですよ。ここは皆さん、フェアにいきましょう。幸いこの世で1番アンフェアな人はいないみたいですし」 「 龍麻様。わたくしはその…女性ではないのですが、わたくしでもお役に立つ事ができるのでしょうか?」 皆が皆それぞれに口を出すのをぽかんとして眺めている龍麻。 桜井が鼻息荒く、そんな女性陣を代表して言った。 「 あのね、ひーちゃん!! この町に入るにはね、美人か可愛い女性を伴っている事が絶対条件なんだってさ!! しかもH…セクシーな格好が似合う女性が好ましいらしくってさ!! だからボクたちの中で誰が1番この町に入るのにふさわしいか、ひーちゃん自身に選んで欲しいと思って!!」 「 え…えええ?」 「 ………なるほどね」 事情を察したらしい京一が倒れ伏している雨紋と醍醐を見て苦笑している。 龍麻はオロオロしながら、目の前に現れた女性陣を見やった。 「 みんな…あの、でも、セクシーな格好とかしてこの町に入るの、嫌じゃない? もしそれで変態町長に見初められちゃったら…」 「 あーら、龍麻。アタシは全く構わないわよ。興味外の男に言い寄られるのなんて慣れてるし? 大体、龍麻の旅のお役に立つならいっくらでもこの得意の色香を放出してあげるわよ♪ それで龍麻の方が落ちてくれれば万々歳だしね…ふふ」 藤咲は長い髪の毛をさらりとかきあげながら余裕の笑みでそんな事を言った。 何でも今回はルイダンの店主である藤咲の特別の計らいで、この場でパーティの再編成が可能らしい。 舞子、比良坂、芙蓉もそれぞれの決意を口にする。 「 ダーリンの為ならあっ!! 舞子、超〜ミニのピンクのナース服着て頑張っちゃうよ〜? 看護婦さんコスは〜男の子には人気あるんだよ〜?」 「 龍麻さん。私は定番ですけど、女子高生ルックで攻めたいと思っています。舞子さんと同じですけど、やっぱりスカートはチェックのミニにして…ブラの線が透ける白いブラウスに可愛いリボン…とかでどうでしょうか」 「 そ、そんな…!」(かああと1人真っ赤になる龍麻)←やはり男の子だったらしい 「 龍麻さま…わたくしはそういう事はよく分からないのですが…こちらに来る前村雨と相談しまして、東方の国で1番の人気を誇ると言う《ちゃいなどれす》を着る事に致しました」 「 うおっ。俺、それ好きかも!」 ちょっと嬉しそうにそう言ったのは、最近折角硬派でいい感じだったのに、の京一である。 「 ボクはね、ボクはねっ!! ビキニの水着を着て審査会場に入る!!」 でもって最後にそう言って握り拳を作ったのは桜井小蒔である。 これには桜井に倒された雨紋と醍醐が懲りずにまた何か言いたそうな顔をしていたのだが…。 龍麻的には桜井のビキニ姿も十分OKらしい。赤くなっていた顔をますます真っ赤にさせ、より困惑したようになって京一を振り返った。 「 ど、どうしよう、俺…!」 そんな龍麻に京一は苦笑したまま首を振った。 「 どうしようも何も。ひーちゃんの好みの奴を選べばいいんじゃねーの? こいつらが運良く町長に好かれれば、ひーちゃんの貞操も安心だしな」 「 ちょっと京一、そんな余裕の発言してるけど」 その時、藤咲がにやりと笑ってからフフンと鼻を鳴らした。 「 龍麻。何もアタシたちの中から1人を選ぶ必要はないわけよ。そこにいる役に立たない男共を全部パーティから外して、あと4人、アタシら女を仲間にする事だってできるのよ?」 「 え…」 「 な、何!? おい、それは…!」 「 そりゃないだろ。俺サマ、龍麻サンと仲間になったばっかりなのに」 「 お、俺もだぞ…! 第一、俺は白虎として龍麻を守護する役目が…!」←自覚ないくせに 「 ええい、黙れこのひーちゃんラブ男めっ!!」 桜井の攻撃!! 「 ぎゃっ!!」 「 うおっ!!」 雨紋と醍醐は再び倒された!! 桜井がイライラしたように言う。 「 ひーちゃんっ。とにかくこの町に入って青龍を仲間にする為には、女の子パーティにした方がいいって!! さあさあ、ボクらの中から誰か選んでっ。勿論、審査に通りそうな人をねっ」 「 そ、そんな…またこの選択か…(汗)」 「 ひーちゃ〜ん」 「 はっ!?」 すると、またも登場、裏密ミサちゃんである。 「 ひーちゃーん…。女の子キャラには、私もいるよ〜。シシシシシ」 「 い、いつの間に来てたの…?」 「 ミサちゃん〜ルーラで1人で来たの〜。それより〜パーティ組む時に悩んだら見るもの、教えてあげたよね〜」 「 あ…そうか、カード!!」 龍麻が思い出したように言ってカバンからごそごそとカードを取り出す。 するとその場にいた全員が一瞬で氷ついた。 それはそうだろう、龍麻の主観というよりは魔法のカードによって「今、この場にふさわしい者、ふさわしくない者」の判定をされてしまうのだ。 男性陣はともかく、判定されなかった女性陣、つまり自分のカードが青になっていない者は、「ハーレムタウンに入れない役立たずな美人でも可愛くもない女」の烙印を押されてしまうのだ!! しかし今更後には引けないというのも、女のプライドというやつだろうか。 辺りは一種異様な雰囲気に包まれた。 「 じゃあ、開くよ…?」 龍麻は《不思議なカード》を開いてみた!! 京一のカード(炎の剣)……青 小蒔のカード(リンゴと弓)……赤 美里のカード(地獄のボサツガン)……血の色地獄(真っ赤) 醍醐のカード(白い虎)……青 マリィのカード(火の鳥)……青 雨紋のカード(雷)……赤 舞子のカード(救急箱と注射)……赤 比良坂のカード(歌姫と七色の鳥)……赤 藤咲のカード(酒と鞭)……赤 村雨のカード(金色に輝くコイン)……赤 芙蓉のカード(人型をした紙)……赤 裏密のカード(黒水晶と蝙蝠)……赤 ……ちなみに龍麻のカードは今まで白だったのに、今は真っ青なぴっかぴかの青色になっている。 「 …………」←一同の沈黙 「 え、えーと…? これって…?」 「 何でさ! 何でボクたち女の子がみんな赤なのさー【怒】!!」 「 ちょっとミサ。これ壊れてんじゃないの【怒】」 「 やーん、ダーリンと一緒に行きたいのに〜【悲】!!」 「 龍麻さん…【嘆】」 女性陣がそれぞれの感想を漏らす中、裏密がいつものキシシ笑いをしてから言った。 「 4神の2人が青だからね〜。このイベントには、最終的に4神を連れて行くのがベストなパーティって事だろうね〜」 「 でも何でいっつも京一が選ばれてるんだよっ!!」 それでも納得がいかない桜井は裏密に食ってかかる。 裏密は平然とした様子のまま、くるりと龍麻に首を向けてからまたにたりと笑った。 「 それはひーちゃんに訊いてみないと〜分からないよ〜」 「 え…(焦)?」 「 ま、まあそれはともかくだな」 自分が選ばれた事に安堵した醍醐がすっかり立ち直ったようになって真面目な声を出す。 「 結局どうすればいいんだ? マリィは美里が連れて行ってしまって行方不明だし。そのカードが選んだ俺たちパーティでは、審査を通る事ができまい」 「 できるよ〜」 裏密は醍醐の質問にますます楽しそうになって笑った。 そして。 「 何物よりも輝く青のカード〜。そのカードの持ち主が審査を通り抜ければ良い〜」 「 ………やっぱりな」 ぼそりと京一がつぶやいたその声に、龍麻がぎくりとして顔をあげた。 「 ま、まさか……」 その時、不意に龍麻の荷物カバンからぴかりと光輝き、飛び出て来たものがー。 「 こ、これは…!!」 それは、ローゼンクロイツ城攻略の際手に入れた、【魔法のメイド服】だった。 龍麻は新たにパーティを組み直した!! 京一が仲間に加わった!! 醍醐が仲間に加わった!! ハーレムタウンに入国する為には、パーティの誰かが入国審査において「可愛い、または美しい女性」と判定されなければならない!!その為にはHな格好が不可欠である!! 果たして龍麻はどのような格好で審査に臨むのだろうか…!! 《現在の龍麻…Lv12/HP45/MP27/GOLD6636》 |
【つづく。】 |
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