(13)



  夢なのか現実なのか分からない場所で、何も考えずに浮かんでいた。
  ぷかぷかと浮かんでいた。

「 コウ……」
  それでも何度か口にする名前は同じだった。熱い。身体が火照って、そのまま燃えてなくなってしまいそうな感覚。同時に身体中がぎしぎしと何かに押し潰されてしまいそうな痛みに苛まれていた。
「 苦し……コウ……」
  友之はぼんやりとした視界の中で、うわ言のようにつぶやいた。暗い。あの落ちていった瞬間と同じ、未だ暗い空間の中、友之は自分が何処に焦点を当てて良いのか分からなかった。
  それでも頭に浮かぶその人の名前だけは息が続く限り呼び続けた。
「 コウ…」
「 ここにいる…」
  するとしばらくして、ようやっとその望んでいた声が聞こえた。
「 友之」
  今度は、はっきりと自分を呼ぶ声。
「 ……あ…」
  友之が何とか重い瞼を開き、声のする方へと顔をずらすと、そこには確かに1人の影があった。部屋が暗いという事と、友之自身の意識がはっきりしていないという事で、明確にはその人を識別できない。けれど、隣にいて声をくれたのは間違いなく光一郎だ。ぼうっとする思考の中、それでも友之にはそれだけはしっかりと理解できた。
「 コウ兄…」
「 ………」
  試しに「兄」と呼んでみると、すぐ傍で一瞬息を飲む気配がした。躊躇い。苦痛。そんな空気がぴんと伝染してきて、友之は自然と眉をひそめた。
「 コウ兄…」
  それでもすっと腕を伸ばして光一郎のいる方へとそれを向けると、意外にもそれはすぐに温かい大きな掌に迎えられた。
  ほっとした。
  光一郎の、自分の差し出した手を優しく取ってくれた所作が嬉しかった。
「 コウ兄…」
「 苦しいか」
  光一郎が訊いた。
「 ………?」
  その問いの正確な意味が今イチ掴めず、友之はしばらくは口を閉ざしたまま横にいる光一郎をただじっと見つめた。徐々にはっきりしてくる視界。やはり光一郎だ。ここは寝室で、自分が横になっている場所はいつものベッドで。光一郎はその端に腰を下ろし、自分の手を握り締めたままこちらをじっと見据えている。友之は暗闇の中、それだけを確認して、まずは大きく息を吐いた。
「 熱…下がらないな」
  ぽつりと光一郎がそう言うのが聞こえ、友之は微かに身じろいだ。分からないという顔を向けると、光一郎は少しだけ目を細めて困ったような顔をした。
「 あ…」
  けれど、しばらくして理解した。そういえば身体が熱い。頬は火がついたようにじんじんしているし、頭も重い。身体を動かそうとして、それも錘が乗ったように不自由になっていて思うように動かせなかった。
「 ……熱、あるんだ……」
  他人事のように言うと、光一郎は慰めるようにそんな友之の額を握っていない方の手で優しく撫でた。ゆっくりと2度、3度。友之はそれが心地良くてもう一度はっと息を吐き出し、それから喉をごくりと鳴らした。
「 何か飲むか」
  光一郎が友之のそんな様子に勘付き、すかさず言った。機械的に頷くと、光一郎は「待ってろ」と言い残し、すぐに立ち上がってそのまま部屋を出て行ってしまった。
「 あ…っ」
  それで友之は思わず惜しがるような声を漏らし、自分の元から去ってしまった光一郎の姿を必死に追いながら視線を隣の部屋へとやった。頷かなければ良かったと後悔した。
「 ……ッ」
  もう一度、自由の利かない身体を少しずらし、辺りの様子に目を凝らした。それからふと、自分自身を顧みる。寝間着を着ている。いつもの、濃いブルーの絹地が暗い部屋でも目に映えて飛び込んできた。
  いつ。
  自分は一体いつの間にこれを着たのだろうか。自分1人で? 記憶がない。ああ、そうか。そういえば「あの後」、光一郎は浴室に自分を運んでくれた。そうして、いやに丁寧に身体を洗ってくれたのだった。その後だ。きっと、その後。その後、光一郎は自分にこれを身に付ける事も、ここまで運ぶのも、きっと全部やってくれたのだ。
「 自分で…何も、してない…」
  何もかもしてもらった事が恥ずかしく、居た堪れなくて、友之はそれを誤魔化すようにわざと声を出してそんな言葉を吐き捨てた。それからぎゅっと胸元を掴んで寝間着に皺をつけると、浴室で意識朦朧となりながら赤子のように光一郎にただ縋り付いていた自分を思い出し、ぐっと唇を引き結んだ。
「 ………っ」
  大きく息を吸い、そして吐き出してから友之は首を横に振った。それから改めてもう一度辺りを見回す。
  今は、一体何時なのだろう。
  あれから。
  あれから、一体どのくらいの時が経ったのだろう。
  台所の方で冷蔵庫の開く音、氷とグラスの触れ合う音が聞こえた。友之はそちらに意識をやりながら、恐る恐る身体を起こそうと両肘を立てた。
「 んっ…」
  徐々に力をこめ、ゆっくりとした動作でベッドに上体を起こす…が、咄嗟に腰に鈍い痛みを感じ、友之は顔を歪めた。同時に、あの時の衝撃と痛みを思い出して自然に顔が熱くなった。
「 い…た…っ」
  さらにベッドの上で身体をずらすと、その衝撃で新たな痛みが襲った。思わず声を出してしまい、はっとして口を閉ざす。それからまた自然に顔が熱くなった。これは熱のせいではないだろうと思った。
  痛みだけではなかった。
「 ………っ」
  それを自覚したから、余計に身体の熱は上がった。
  「あの時」、明らかに自分は光一郎に与えられた熱に溺れ、そしてそれに心地良さを感じた。苦しかったのに、恐ろしかったのに身体は光一郎を求めていた。あんな風に声を出して。いやらしく足を開いて。
  光一郎は自分のことを一体どのように思っただろう。
「 トモ」
「 あっ」
  物思いに耽ろうとした瞬間、光一郎の声が部屋の入口から聞こえて、友之ははっとして顔を上げた。
「 ………」
  すぐにこちらに来ようとしない。片手にグラスを持った光一郎は、隣の部屋と寝室の入口に立ち尽くしたまま、じっと友之のことを見やっていた。その表情は何も感じていないような一種冷たい瞳を宿していたが、友之は怖いというよりただ不安で、そんな光一郎を逆にじっと見つめ返した。
「 コウ兄……」
  呼ぶと、光一郎はそれに誘われるようにして一歩を踏み出し、ようやく傍に寄ってきた。再びベッドに腰をおろし、そのまま手にしていたグラスを友之に渡す。友之はおとなしくそれを受け取った。
「 ………っ」
  冷たく甘酸っぱい味が口許から喉の奥へと染み渡っていく。グレープフルーツだと分かった。普段はジュースをあまり飲まないから、何だか余計新鮮に感じた。
「 うまいか」
「 うん……」
「 ………」
  すぐに頷き、尚もごくごくと一気に飲み干すと、友之はあっという間にそのグラスを空けた。両手で透明のそれを包み込んでいると、中に入っている氷のせいもあってか、ひんやりとした感触がじわりと掌から全身へと伝わっていく。それが気持ち良くて、友之はしばらくそのグラスを手にしたまま、じっとその場に身を置いていた。
「 もうしばらく寝た方がいい」
  すると光一郎がふと口を開いてそう言った。
「 まだ熱があるし。……学校は休めばいい」
「 今…何時?」
  急に学校などという現実的なものの話をされて、友之はハッとなって訊いた。どうしてか時計のある位置が思い出せない。さっきからきょろきょろと部屋を見渡しているのに今が何時なのか分かっていない。これだけ暗いのだからまだ朝ではないのだろうと思うが。
「 7時…だな」
「 えっ…。こんなに…暗いのに…」
「 雨のせいだろ」
「 ………」
「 俺ももう行かないと…」
  光一郎がどこかへ視線をやりながら言った。ああ、そちらに時計があるのかとも思ったが、友之は自分から視線を逸らしてしまった光一郎がただ不満だった。それに光一郎はもうすぐここからいなくなってしまう。それが嫌で、それが寂しくて、友之は手にしていたグラスをころんと蒲団の上に置いてしまうと、縋るように光一郎に自らの手を差し出した。また握ってもらいたいと思った。グラスを転がした拍子にそこから幾つかの氷が掛け蒲団の上にこぼれ落ちたが、全く構わないと思った。
「 トモ……」
  しかし光一郎はそれを気にしたのだろう、眉をひそめてそんな友之に表情を翳らせた。
「 手……」
「 え……」
「 手……」
  友之はこちらを向いた光一郎にすかさず言った。光一郎はそれで途惑った様子を示したが、すぐに欲求通り友之の手を握った。優しく何度か撫で、それから転がしたコップを拾った。
  友之はまたそれを不満に思った。また手が放されたから。
「 手……コウ兄……」
「 ………」
  光一郎は、今度はすぐに握ってくれなかった。グラスを掴み、それを弄びながらやや俯いて何事か考えている。友之は急にじわりと胸に押し寄せる不安を感じ、また忘れていた身体の痛みを思い出して泣き出しそうになった。
  傍にいてくれているのに、どうしてこんなに落ち着かないのだろう。
「 トモ……」
  その時、不意に光一郎が友之を呼んだ。ぎくっとして友之がびくりと肩を揺らすと、光一郎は、顔は上げずにぽつりと言った。
「 キスしていいか」
「 え……」
  一瞬何を言われているのか分からなかった。
  固まっていると、光一郎はすっと顔を上げ、友之を片腕だけで引き寄せると至近距離でもう一度言った。
「 お前にキスしたいと言ったんだ」
「 コウ兄……?」
「 するぞ…」
「 あ……」
  殆ど有無を言わせずに、光一郎はそう言うや否や友之の唇を奪った。首筋ごと片手で包まれて引き寄せられて、そのまま。先刻までグラスを持っていた方の手で触れられたからか、首にひやりとした感触が当たって友之はそれだけで身体を震わせた。
「 ふぅ…っ」
  それでも光一郎のキスは友之には嬉しかった。自分も夢中になって光一郎の腕を掴んだ。強く握り締めると、その重ねられたキスはより深くなっていき、舌が入り込んできたのを感じたと同時に自分のものを絡め取られた。
「 んぅ…ん…」
  熱い。またじんじんとしてくる身体。
  ここで友之は反射的に一瞬ぎくりとした。引き寄せられて嬉しかった気持ちが、瞬間、さっと引いていくのが身体全身で感じられた。
「 ふ…ッ…!」
  また、あんな事が起きるのだろうか。
「 ふ、んぅ…ッ!」
  多少身体を逆らわせながら、友之は眉間に皺を寄せた。あれは嫌だ。またあんな事が起きるのは怖い。自分が光一郎に溺れてあんな風におかしくなっていく様をもう見られたくない。
  それをしたら、光一郎はきっと今度こそ傍にいてくれない。
「 コ…」
  唇が離れた時、呼ぼうとして友之は身体を逃がすように身じろいだ。
「 やめ…っ」
  すると光一郎はそれ以上追い詰める気はなかったのか、すぐに離れた。
「 あ…っ」
「 ………」
  嫌がって逆らったのは自分であるくせに、光一郎があっさりと引いてしまうと友之は途惑った顔を見せた。びくびくしながら光一郎に視線をやると、ひどく辛そうな顔がそこにはあった。
「 怖いか」
  光一郎が言った。友之が何も言えずにいると、すぐに感情の消えた声が投げられてきた。
「 怖いんだろ」
「 う、ん……」
  素直に頷くと、光一郎はしばらくは黙っていたものの、やがてはっと深く深くため息をついた。友之がびくりとすると、光一郎は視線を逸らして言った。
「 ひどい事したな…」
「 え…コウ…?」
「 本当…最低だな」
「 コウ…? 僕…」
  何か言おうとした時、けれど光一郎はすくっと立ち上がると上から友之を見下ろして言った。完全に感情を押し殺してしまったような顔をしていた。
「 ……出掛ける」
「 え……」
「 寂しかったら誰か呼べよ。……お前を怖がらせないで済む人間」
「 コ…コウ…?」
「 飯は作れなかった。悪いな」
「 ………っ」
  何を言われているのか分からなかった。光一郎が去って行く。自分に背中を見せて、焦って引きとめようとしたけれど、声が出なかった。喉に何かを押し込められたように何かが詰まって。身体も石のように硬かったから。
 
  行かないで。

  そう叫びたかったのに、声が出なかった。
「 ……ッ」
  バタン、と玄関のドアが閉まる音がして、途端家中がしんとした空気に包まれた。
  友之はただ茫然としながら、その場でしばらく固まったまま、光一郎が去っていった部屋の入口をただ見つめた。何も見えはしなかったけれど、光一郎が消えた方向を見やる事しかできなかったから、無意識にそれだけはしばらくの間続けた。



  天気のせいで部屋が暗いのだろうと光一郎は言っていたような気がするけれど、友之には外でしているはずの雨音など一切聞こえなかった。
  しばらくしてから、友之はよろよろと寝室を出て、居間のカーペットの上に何となく座りこんだ。ベッドにいても良かったけれど、この部屋にいれば光一郎が帰ってきた時にすぐにその姿を見る事ができる。だから、身体が重くても辛くてもとにかくこの部屋にいて座っていようと思った。
「 ………」
  部屋の隅で膝を抱えてうずくまっていると、じくじくとした身体の痛みをより強く感じた。重い。苦しい。痛い。それに、先刻まで身体が熱かったはずなのに、今はどことなく寒い感じがする。時々襲われる悪寒に友之は背中を震わせながら、それでもおとなしくその部屋に身を置いていた。
  せめて何時に帰ってくるのか訊いておけば良かったと思う。
  何度か時計を見ようと思って顔を上げたり首を横に動かしたりもした。けれど友之は寝室にいた時と同様、やはり何故か時計のあった場所を思い出せなくて、現在の時刻を確かめる事ができなかった。だからだろうか、光一郎を待っている時間は1日にも2日にも感じられた。
  そんな時をどれほど送ったのだろうか。
  不意に、電話が鳴った。
「 ……っ」
  びくりとして友之は咄嗟に顔を上げた。けたたましい機械音。最近は以前ほど怯えなくなってはいたが、やはり嫌な音だと思った。二度、三度と鳴り続ける。友之は恨めしそうにそれを眺めながら、けれどふと、これが光一郎からだったらと思ってはっとした。
「 う……」
  だから恐る恐る立ち上がり、友之は電話の方へと足を動かした。もう10回は鳴っただろうか。それでもそれはまだ鳴っている。これはいよいよ、自分がここにいる事を知っているからこそ、これはここまで鳴っているのだろうと思った。
  ならば、光一郎の可能性も大きいわけだ。
「 ………」
  片手で受話器を掴む。ガチャリとそれが外れる音を確認した後、友之は黙ったまま受話器を左の耳に押し当てた。
『 ……もしもし?』
「 ……っ!」
  予想もしていない女性の声に、友之は驚いて一瞬受話器を耳から外した。
『 あら? もしもし? もしもし?』
  返事がない事を訝しがっているのか、高くよく通った声が再度友之に話しかけてきた。友之は眉間に皺を寄せたまま、けれど仕方なくもう一度受話器を耳に当てた。
「 はい……」
  消え入りそうな声で言うと、受話器の向こうの主はほっとしたように『ああ、良かった』と言った。
『 あの、こちら北川さんのお宅ですよね?』
「 はい……」
『 光一郎さんはいらっしゃいます?』
「 あの……」
『 はい?』
  いやに早口だった。まくしたてるようなその勢いに、友之は完全に飲まれていた。
  けれど向こうは察したようだ、はたと思い出したように声を上げた。
『 もしかして、友之さんですか?』
「 え……」
『 ああ、やっぱり! もしかしなくてもそうですよね。ここは光一郎さんと友之さんのお宅ですものね?』
「 あの…」
『 私、新垣です』
「 ………?」
  知っていて当然だろうというような口調で電話の主はそう言った。誰だろう。友之が困惑して黙りこんでいると、向こうはしばらくは友之の返事を待っていたものの、しびれを切らせたのかすかさず言った。
『 あの、私、光一郎さんの産みの親です。はははっ!』
「 え……」
『 友之さんとはお会いした事ないですよね。私、写真か何かでは確か1度か2度は、お顔を拝見させてもらった事あると思うんですよ。でもね、それも随分前の話ですから、きっと今お会いしても分からないでしょうね』
「 あの……コウの……」
『 はい。まあ、今更お母さんって柄でもないでしょうけれどね』
  1人でまくしたてるようにそう言ってから、光一郎の母と名乗るその女性は「あははっ!」と何やらまた先刻同様の軽快な笑声を立てた。友之が呆然としていると、向こうはさらに早口になって言った。
『 光一郎さん、いないようでしたら友之さんの方からご伝言お願いできますか? この間お知らせした引越しの日、あれより1週間も早まってしまったって』
「 引越し…?」
『 ええ。まあ、関係ないとは思いますけれど、一応』
「 あ……」
『 それじゃあ、私、仕事の途中で掛けていますので失礼しますね。友之さんもお元気で』
「 あ……!」
  呼び止めようとして、けれど友之がぐずぐずしている間に、その電話はガチャリと勢いよく切れてしまった。
「 コウの……」
  母親。
  いきなり過ぎてあまりピンとはこなかったが、何だかはつらつとした若い声だと感じた。光一郎や夕実がいながら、彼らの父親と一方的に別れを宣告し突然消えてしまったという女性。
  今まで光一郎たちの母親の事を友之はまともに想像した事がなかった。夕実はいつでも自分の母親である涼子を慕っていたし、光一郎とて実の母親のことなど、本当にこの間の墓参りの時まで一切口の端に乗せなかったから。
  それが突然。光一郎の「弟」とやらと一緒に現れて。今さら何がどうなっているのだろう。引越しとは、一体何の話なのだろう。どくんどくんと、心臓の鼓動が早くなった。何だか嫌な感じがした。別段害のない声。他所の人のような、別の世界の空気を纏っているようなそんな雰囲気の声だったのに、光一郎の母親を名乗っただけで。
  嫌だ。
  何だかひどく嫌な気持ちがした。
「 ………」
  ふと思い立って、友之は電話台の下についている小さな引出しを開けた。それから電気や水道料金の明細票等をかきわけながら、とにかくそこに入っている中の物をぐしゃぐしゃにひっかき回した。それからそこに自分の「探している物」がないと分かると、今度は部屋の隅にある小さなサイドボードの引出しの中をめちゃくちゃに漁った。どうしてか逸る気持ちを抑えられなかった。
  光一郎はいつ帰ってくるのだろう。何となくそんな考えが頭をよぎった。
  けれどそれ以上に友之は知りたかった。

  光一郎の母親という人は今何処に住んでいるのだろう、と。



To be continued…



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