(16)



  光一郎が怖くて寝室もといベッドから出られずにいた友之は、結局その後泣き疲れたせいもあって再び眠りに落ちた。ただそれは深いものではなかったのだろう、ゆらゆらふわふわと絶えず身体に浮遊感を抱いたまま、友之はまた夢とも思い出ともつかない映像をその間ずっと見続けた。
  それは大抵悲しい思い出で、もどかしい過去だった。
  だから友之は結局ずっと泣きっぱなしだった。自覚はなかったが、頬を濡らす涙が絶えず皮膚から体内へ自分の悲しい気持ちを伝えているのは分かったから。
「 友之……」
  けれど多分、傍に光一郎はいた。
「 友之……」
「 ……ん…ッ」
  苦しくて息を吐きながら寝返りを打った先、光一郎の優しい掌が額に触れてきたのが分かって、友之は少しだけ落ち着いた。瞼が異様に重く、目を開く事は叶わなかったが、それでもそこにいるのは絶対に光一郎だと思った。
  そう信じたかった。


  目を覚ました時、そこには誰もいなかったのだけれど。


*


  それから数日間、友之は家から一歩も外へ出なかった。
「 トモ。行くからな」
「 うん……」
  光一郎は友之が目覚めてから1日だけはバイトも学校も休んで家にいてくれたが、友之の熱が完全に下がった翌日からは、またいつもと変わりない忙しい生活を送り始めた。帰って来るのはさすがに早くなったが、それでも友之への無機的な態度はどことなく空寒いものがあった。
  学校へ行けと言わない。また篭もりがちになる友之に「大丈夫か」の一言もない。
  光一郎は、部屋に閉じこもり何もせずに一日を送る友之に対し、日常生活において必要な言葉以外何も掛けてはくれなかった。
「 昼飯は大体用意しておいたから。足りなかったらあと何か適当に作れよ」
  腕時計をはめながら光一郎は素っ気無くそう言い、一方の友之は未だ寝間着姿のまま、そんな兄の姿をただ寝室の入口付近でぼうっと見守るだけだった。
  うまく話しかける事はできなかったが、外へ行ってしまう光一郎を見送る事だけは、いつも辛うじてやっていた。本当は行って欲しくない、もっと色々話がしたい。あの夜の事を、言い足りなかった言葉を何とか伝えたい。
「 ………」
  けれど友之はただ突っ立って光一郎を見送る事しかできなかった。光一郎もまた、友之に何も言おうとしなかったから。
  光一郎があの夜割ったガラスの破片は、まだキッチンのゴミ箱に投げ入れられたまま残っていた。
「 ……トモ」
「 え…」
  考えこむように俯いていた友之に、光一郎が不意に呼んだ。
  はっとして顔を上げた先には、既に出掛ける準備がすっかり整っている光一郎の顔があった。友之は戸惑いながら背の高い光一郎を見上げた。またいつものようにあるのだろうか、と思っていると、間髪入れずに「それ」はきた。
「 ……っ」
  光一郎は出がける間際、最近はいつも友之に唇へのキスをしていた。
「 ん…っ」
  必死にそれに応えようと友之も自分の唇を突き出すようにして光一郎のそれに従ったが、いつも一方的に与えられるような気がしてただ息が詰まり、目眩を感じた。
「 ふぅ…んん…」
  深く舐られて腰が砕けそうになり、倒れそうになるのを防ごうと友之はいつも光一郎の腕を必要以上にぎゅっと強く掴んだ。いつもついそうしてしまった。
「 ………」
「 あ…!」
  すると拒絶の意に取られるのか、光一郎からの拘束はその後すぐに解かれるのだった。
「 ……ッ」
  いつもと同じだ。
  口付けをしているのに、こんな風に触れ合っているのに、想いはちっとも届いていない。光一郎の近づいては離れていく細波のような想いも、友之にはただ不安だった。
「 ……行ってくるな」
「 コウ兄…」
「 早く帰る」
  光一郎はしばらく沈んだ顔をしている友之をじっと見た後、それだけを行って出て行ってしまった。
「 コウに…」
  友之は追いかけるようにして玄関口まで歩き光一郎の背中を見送ったが、閉じられたドアの音としんとする部屋の空気にやはり堪らなくなり、ぐっと唇を噛んだ。光一郎に触れられたその唇は、やがて身体全身へじくじくとした熱を伝えていった。もっと触れて欲しいと、抱きしめて欲しいと自分の全部が訴えているのが友之には痛いほどに分かった。
  そんな風に感じてしまう自分が恥ずかしい。

  いつか光一郎はこんな自分を置いて何処かへ行ってしまうのではないか。

  そんな心細く危うげな気持ちを抱えながら、友之はただそこに留まっていた。部屋から一歩も出たくなかった。学校が嫌だとか、人と関わるのが怖いとかいった以前の感情からではない。そういう事ではない。だから本当は外へ出た方がいいのかもしれなかった。沢海や橋本の明るい顔を見たり、外で草野球チームの人たちと街で顔を合わせたり。そうした方が良いのではないかと思う。
  それでも友之は今が何日で、何曜日で、今まで自分がどのように生活していたのかも今はもう忘れかけていた。辛うじて光一郎が普段通りの生活を始めた事で、そんな光一郎の傍にいる事で、ぎりぎり現実に留まっているという感じだった。
  部屋にいて何をしているわけでもないのに。何を考えているわけでもないのに。何をしているのだろうと思う。でも、分からない。否、本当は分かっているはずなのに、あの夜自分の見えない所で激昂したような光一郎の姿を思うと、怖くて先に進めなくなっていた。
  「手掛かり」も消えたし。

  不意に電話が鳴った。

「 ………っ」
  怯えながら友之は耳を塞ぐようにしてそれから逃げ、寝室へ駆け込んだ。電話の主が誰かなど予想できる。多分裕子だろうと思った。塞ぎがちの自分に、きっとまだ熱が下がりきっていないからだるいのだろうなどと温かい声を掛けて、またあれこれ世話を焼こうとしてくれる裕子が辛かった。申し訳なかったけれど、顔をあわせられなかった。
  また、裕子だけでなく中原も1度仕事の合間だと言って友之の様子を見に来た。彼らしくぐずぐずと家に篭もっている友之を叱咤し、何があったのかと問い詰めもしたが、あまりに反応のない「弟」に途惑ったのか、最後には「勝手にしろ」の捨て台詞を吐いて帰ってしまった。
  沢海も1度見舞いに来てくれた。ただ取り留めのない世間話をしてくれた。嬉しかった。
  電話のベルは、十数回は鳴っただろう。しかし相手が出てくれない事をようやく悟ったのか、それはやがて消えた。
  ほっと息を吐く。何もかもから逃げて、それでも光一郎だけとは一緒にいたくて。
  ひどい我がままだと分かっていた。でも止められなかった。



  昼間になり、数馬がやってきた。意外な事に数馬が友之の様子を伺いに来たのは、この時が初めてだった。
「 数馬君、参上ッ!」
  数馬は友之が玄関のドアを開いた途端、押しのけるようにして中に入ってきた。そうして「はいはいはいはい」と訳の分からない声を出しながらリビングにまで来ると、慌てて後を追ってきた友之にいつもの偉そうな顔をしてみせた。大袈裟な様子で両手を腰に当てて。
「 うん、顔色はいいんじゃない?」
  そうして数馬はきょろきょろともう一度部屋を見渡した後、「ご飯食べた?」と訊いた。
「 あ…まだ…」
「 だと思った。駄目だよちゃんと食べないと。何かあるの、食べる物?」
  ボク買ってきてあげようか、と数馬はいやに親切にそんな事を言ってから、台所へ向かって「ああ、何だあるじゃん」と鍋の中のスープを見つけ言った。
「 光一郎さんが作って行ってくれたの?」
「 うん」
「 はっ、毎度の事ながらマメですね」
  そうして数馬はてきぱきと棚から二つの皿を出し、「僕も貰うから」などと言って友之が突っ立っている間に2人分の昼食をリビングに運んだ。



「 今日はお見舞い。君、風邪長いって中原先輩に聞いたから」
  テーブルに並べた物は温め直したスープとフランスパン、それに数馬が即席で作ったハムエッグだった。飲み物は、友之は牛乳を飲むと言ったが、数馬は、自分は嫌だと言って外の自販機へ行って炭酸ジュースを買ってそれをテーブルに置いていた。
  手にしたフォークでベーコンをつつきながら数馬は話し続けた。
「 予備校でも拡君から聞いてたから知ってたんだけどね、君の不調は。ていうか、どっちかというと不調なのはあの人なんじゃ? もう笑っちゃうほど元気なくてさあ、『友之が元気ない、友之の様子がおかしい』ってしきりにさ。うるさいっての。まったく、同じ事をぐちぐちぐちぐちと繰り返してさ、ホントいい加減殴って帰ろうかと思ったよ」
「 拡のことを…?」
  半ば驚いて友之が訊くと、数馬はにやりと口の端を上げて笑った。
「 うん。最近、ボク妙にイラついているからさあ」
  そうして数馬は自分で焼いたカリカリのベーコンをつつくのをやめ、動きを止めた。
「 で、実際また引き篭もりになっちゃったの? それともただの病み上がり?」
「 うん……」
「 だからあ…」
  数馬は友之のくぐもった返事に持っていたフォークをガチャンと手放してから、いつもの大袈裟なため息をついて見せた。
「 君って人は…。本当に呆れるほど覚えが悪いね。だからそんな返事の仕方じゃ、ボクの最初の問いに対してのウンなのか、それとも後のものに対するウンなのか今イチ分からないでショ!」
「 ………」
「 まあ、いいや」
  数馬は黙りこむ友之に慣れたような目を向けてから、今度は反転真面目な顔になって言った。
「 見たところそんなにやつれているようでもないし。君の青白い顔はいつもと同じだもんね。今もちゃんと食べているようだし、その点は安心したよ。何と言ってもご飯は基本だよ。これからもちゃんと摂りなよ? こうやって毎回誰かに来て見張ってもらわなくてもさ」
「 食べてる……」
  すぐに答えた友之に数馬は一瞬だけ意外そうな顔をしたが、すぐに気を取り直すと探るような目をして言った。
「 そう? でも、拡君だけじゃなくて中原先輩も裕子さんも心配していたみたいだからさ」
「 食べないと……」
「 え?」
  友之のぽつりと発した言葉に数馬は開きかけていた口を閉じた。
  友之はスープをすくうためのスプーンをしっかと手に握ったまま、言いかけた言葉を最後まで述べた。
「 食べないと、コウが怒るから……」

  その事こそが今の自分のすべてだから。

「 …………そりゃそうでしょ」
  友之の発言から言外の意味まで読み取ろうとしていたのか、数馬の返答はやや遅れた。しかしぐっと何かを堪えているような友之に対し、数馬は何かを打ち払うように軽く首を左右に振ると、しばし自分も俯いた。恐らく数馬はこの時、深く物事を考える事をやめた。
  それはきっと友之がいつも以上に壊れそうな顔をしていたから。
「 トモ君」
  やがて数馬はいやにしっかりとした口調で言葉を出した。
「 トモ君。君、ちゃんとしっかり元気なの?」
  それは本当に相手を心配しているというような声色だった。だから友之は少しだけ顔を上げ、それからゆっくりとだが静かに頷いた。
「 ………うん」
「 そうは見えないけど」
  友之の返事に、しかし数馬は到底納得していないようだった。そうしてやや雑然となっている部屋を改めて見回してから、数馬は「 珍しいね」とつぶやいた。
「 いつも整理整頓、きちんとしている部屋なのに。光一郎さん、掃除サボっているの?」
「 ………うん」
「 なら君がやればいいじゃない」
「 うん…」
「 ………光一郎さんと何かあったの」
「 ………」
  機械的に頷くため動いていた首がぴたりと止まった。数馬はそんな友之を再度隙なくじっと見やってから、ふっと微かなため息を漏らした。
「 まあ、いいや」
  そうして数馬は不意にジャケットの内ポケットから何かを取り出すと、それをさっとテーブルの上に投げて寄越した。友之はその投げ捨てられたかのようなそれに何となく視線をやったが、やがて目を見開いて驚きの声を漏らした。
「 あ…っ!」
  それは友之が河原で失くしたと思っていた、修司がくれたあの写真だった。
  光一郎の弟と、彼の住んでいる街が写っている写真と。数枚あったはずのそれは2枚だけになっていたけれど、それは確かに友之の目の前にあった。
「 数馬…っ」
「 それ、探していた?」
「 どうして…!」
「 どうしてでしょうねえ」
  数馬は急に大きな声を上げて生気が甦ったような友之に意地の悪い笑みを浮かべとぼけて見せた。しかし友之が真剣な顔で自分の事をじっと見つめている事に辟易すると、呆れたように両肩を上下させた。
「 本当に光一郎さんの事になると目の色が変わるよね」
「 数馬」
「 どうしてって、それはね。ボクが君の魔法使いだからだよ?」
  けれどあくまでも数馬はとぼける。
  そうしてぽかんとしている友之にけらけらと軽く笑って見せてから、数馬は自分が出した写真を指先でこつんとつついた。
「まあ、さ。とにかくこの人が光一郎さんの弟で、君はこの人にずっと会いたいって思っていたわけだよね。良かったね、この写真がボクの手元に来てさ。自慢じゃないけど、遊び人のボクにかかったら、この写真に載っている場所を探すなんて朝飯前だからね」
「 ……ここ、何処か分かったの?」
  どくんと高鳴る胸を抑えて友之は訊いた。数馬はあっさりと頷いた。
「 うん。でも実はある人に訊いたからなんだけどね。その人ボクより遊び人でさあ。はっきり言って負けた。まあそんな事はともかく、行くでしょ、そこ?」
「 ………」
  しかし友之は当然のようにそう言った数馬を前にして、はっとなると黙りこんだ。
  あの夜の、失望し激昂したような光一郎の姿が友之の脳裏にすぐさま甦ってきた。
「 ………」
  あまり話したがらない光一郎にしつこく問い詰めた。会ってみたいと思い、また一方で逆に光一郎には会って欲しくないと思った。それなのに相手が遠くへ越してしまうと知った時には、自分が会いたいと思っていたのは勿論だが、光一郎とて会わなければいけないのではないかとまたしつこく食い下がった。
  光一郎はウンザリしていた。
 

  そんな他人のこと。
  俺たちのことは……?


  そう言って自分に背中を向け出て行ってしまった光一郎。
  あの夜。
  友之はぶるりと震え、それから首を横に振った。
「 もう…いい……」
「 は?」
  当然の事ながら、友之のその返答に数馬はきょとんとした顔を見せた。
「 もういいって……。それどういう意味さ?」
「 ………行かない」
「 行かないって?」
「 会わなくていい…もう…」
「 …………何ソレ?」
  俯いたまま自分と目を合わせようとしない友之に、数馬はむっとした声を出した。それでも友之は顔を上げようとはしなかった。数馬は怪訝な顔をしてから再度写真に目を落とし、それからつまらなそうに言った。
「 ……ふうん。別にさ…いいなら、良いけど? けど…これでも苦労したんだよね、この場所探すの。だからさ、このボクを納得させてみな。あんなに知りたかった事を諦めるワケ」
「 嫌われる……」
  割とすぐに友之は即答した。数馬は黙りこんだ。
  しんとした部屋の中、二人分のスープは今やすっかり冷めてしまっている。意味もなくつけていたテレビの音が今は何だか白々しいものに聞こえた。
  先に沈黙を破ったのは友之だった。
「 コウに嫌われるし…。だから、もういい」
「 何で」
  数馬のぴしゃりとした言いように友之はびくりとして顔を上げた。数馬の顔からはすっかり笑顔が消えていた。
「 そもそも何で君は弟君に会いたいと思った? それが分かってから考えろよ、光一郎さんに嫌われるうんぬんはさ」
「 ……え」
  早口でまくしたてる数馬にまたついて行けなくなりそうになって、友之は焦ったように訊き返した。勿論、数馬は言い直しなどしてはくれなかったけれど。
「 何か分かると思ったんじゃないの? 自分と比べてみたかったんじゃないの? いや、そんな事より何よりも、会いたい、会ってみたいって思う事の一体何が悪いのさ。違うでしょ、光一郎さんが怒っているとしたら、その事で怒っているんじゃないよ、きっと」
「 どういう…」
「 どういう意味かなんて、そんなの答えてあげないよ。自分で考えなよ」
「 ………」
  半ば興奮したようにそう言った数馬に、友之は黙りこくった。

  どうして会いたいと思ったのか。

「 ………それは……」
  光一郎を取られると思った。その不安ゆえ。それがまずある。
  単なる興味。考えもしなかった自分以外の家族の存在。それもある。
  それに。
「 確かめて…みたかった……」
  弟としての位置を取られる事の恐怖と、自分の内に潜む光一郎へ対する別の感情。
「 だから………」
「 行ってきなよ」
  数馬が言った。それは殆ど強制とも取れるような半ば強引な口調でもあった。
「 ボクは、今回は一緒に行ってあげないよ? ってか、毎度言わせてもらうけどね、ボクは忙しいんだよね。君にばかり構っていられないんだから」
「 ………」
「 分かった、トモ君?」
「 うん……」
「 ………」
  静かに頷く友之に、数馬はどことなく複雑そうな表情を浮かべた。けれどそれも本当に一瞬で、すぐさま元の平静な態度に戻ると、数馬は写真を取ろうとした友之の手をさっと握った。
  そして。
「 ねえ。ドキドキする?」
「 え……」
「 この香坂数馬が君なんかの手を握ってあげているンだよ。ドキドキするかって聞いているんだ」
  友之はそんな数馬から自分も視線を外せなかったが、言葉は殆ど押されるように無意識のうちに出た。
「 しない…」
「 ……このやろう」
  数馬は友之のその返答に薄く笑って見せた。そうしてぐんと大きく胸を反らすと、数馬はすぐに自信満々の顔になって言った。
「 じゃあそのうち絶対ドキドキさせてやるよ。そういう目にあわせてやる」
「 数、馬…?」
「 だから早くくっつけって言っているだろ?」
  そして数馬は不意にズボンの尻ポケットから財布を取り出すと壱万円札をぽんと友之の前に差し出した。
「 貸してあげる」
  そして事もなげに言った後、バカにしたように笑った。
「 お金ないでしょ。電車に乗って行かないといけないんだから」
「 遠いの…? その場所」
「 ここから電車だけで2時間はかかるよ」
  数馬は言ってから、「ここね、結構有名な観光名所だったよ」と言い、江戸時代からの建物が多く残っている歴史の古い町なのだと、まるで自分もそこを見てきたような口調でその場所への行き方を説明した。
「 ついでにそのお金で遊んできな。たまにはそういう事しなきゃ。あ、でも」
  そうして数馬は一旦言葉を切ってから、ここで今日1番の企み顔を見せた。
「 その金は利子つきで返せよな」
  友之はそんな数馬の言い様に、訳も分からないままただ頷いた。


  まだ、13時を少し回ったところだった。



To be continued…



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